探訪 ユニフォーム一新!/働く人の意識を変える/クリナップ/薬王堂/シマダグループ/タクトホーム/日本ピザハット/野村不動産パートナーズ/東急/GOOD PLACE
2025年01月23日 (木曜日)
人手不足から職場環境の改善や従業員のモチベーション向上につながる取り組みの一環としてユニフォームを刷新する企業が増えている。人材の確保、働く人の意識の変化、企業ブランディングの向上など図っていく上でも、ユニフォームを変えることは有効な手段と言える。
〈クリナップ/水の流れを連想〉
クリナップは、創業75周年を迎えたことに合わせ、ショールームアドバイザーの制服を一新した。昨年の10月1日から着用している。
着用パターンは従来通りスカートタイプ、パンツタイプの2種。ステンレスイメージのグレーをベースに水の流れを連想させる「クリナップレッド」のラインを入れ同社らしさを表現。働きやすさに重点を置き軽量ジャケットと、裾上げ不要のテーパードシルエットのパンツを採用した。
他にマタニティーワンピースと男性アドバイザー用ジャケットを用意。ショールーム内で使用するネームプレートも制服に合わせてデザインをリニューアルした。
〈薬王堂/清潔感+高貴な色調で〉
東北地方を中心にドラッグストア(DS)を400店舗近く展開する薬王堂(盛岡市)はこのほど、クロスプラスと開発した制服の着用を始めている。クロスプラスとしては企業向けオリジナル制服で初の納入事例。登録販売者と化粧品担当者向けにはチュニック丈の制服を、一般従事者向けにはTシャツとトレーナーを採用した。
登録販売者向けはボタン使いのケーシーウエアのデザイン。清潔感のあるブルーを基調とした色調にした。化粧品担当者向けは襟付きのチュニックで高貴さを演出する黒色で構成。薬王堂のプロジェクトメンバーが生地の選定からデザイン、仕様、着やすさなどの具現化についてクロスプラスと協議を重ね完成した。
一部の制服には植物由来成分を含む高性能ポリマー使い素材「ソロナ」を使用している。
〈シマダグループ/シックな中に遊び心〉
不動産業のシマダグループ(東京都渋谷区)は、運営するホテル&レジデンス六本木(同港区)のサービススタッフ用制服をリニューアルし、昨年11月から着用を開始している。
ホテルとレストランで制服を統一し、多能工な働き方やセクションを超えた連携を図ることが目的。シックな雰囲気の中、各所に遊び心を持たせたユニセックスなデザインに仕上げた。黒のジャケットながらラグジュアリー感が出るよう襟元にサテンの生地を使用。フロントボタンは取り外し可能なチェーン式を採用して遊び心を取り入れ、ブランディングカラーの赤を袖裏とポケット裏に配色した。個性を尊重するためジャケット以外の着用は自由とするルールに見直している。
〈タクトホーム/営業職のモチベーション向上〉
戸建て住宅分譲のタクトホーム(東京都西東京市)は営業推進部、注文住宅部、不動産再生課の従業員にジャケットと防寒ブルゾンを導入した。使用済みユニフォームはJEPLAN(旧日本環境設計、川崎市)のリサイクルプラットフォームで回収、服の原料となる再生ポリエステルや自動車内装材などに再生する。
これまで営業職の従業員には、冬期に施工管理職の従業員と同じ仕様の防寒着だけを配布していたが、モチベーションやチームワークの向上を目的として、ジャケットの追加と、防寒着のリニューアルを行った。ジャケットは爽やかな印象のグレー、防寒着は落ち着いたネービーで、いずれも性別年齢を問わず着用できる。ユニフォーム製造卸のアイトス(大阪市中央区)の商品となる。
〈日本ピザハット/ジェンダーレス仕様導入〉
世界最大級のピザチェーン「ピザハット」を運営する日本ピザハット(横浜市)はこのほど、働く環境改革の一環として、髪色自由、店舗リニューアルの取り組みに合わせて、新ユニフォームを導入した。
ジェンダーレス仕様の新ユニフォームは、働くモチベーションを高めるようなスタイリッシュで機能的なデザイン。腕の下が突っ張らない立体裁断を採用し、スムーズな動きが可能。袖口のカフス内側は一部ゴムにして見た目をすっきりとさせた。この他、後ろ丈を長くすることで着用中に後ろ腰からシャツが出にくい工夫も施した。
個性を大切にし、自分らしいスタイルを失うことなく、従業員一人一人の魅力を最大限に発揮できる職場環境の提供を目指す。
〈野村不動産パートナーズ/誇り持って働ける〉
野村不動産パートナーズ(東京都新宿区)は、管理現場に従事する従業員のユニフォームを刷新し昨年12月1日から順次着用している。現社名に変更してから10周年を迎えたことを記念して計画。製作に当たっては、実際に着用する従業員の意見を取り入れたデザインを採用することで、使いやすさや従業員のエンゲージメント向上につなげ、誇りを持って働けるユニフォームを目指した。
アイテムはダークネービーのブルゾンとチャコールグレーのスラックスはじめ、長袖・半袖シャツ、ポロシャツ。野村不動産グループのコーポレートカラーである紫色とオレンジ色のラインを襟元に取り入れて統一感を出したほか、従業員の声を取り入れてポケット位置やサイズをスマートフォンなどの収納に適した設計とした。
〈東急/安全性や機能高める〉
東急は昨年11月1日、鉄道の現業に従事する従業員の制服を16年ぶりにリニューアルした。性別による貸与の差異をなくしたほか、着用する機会が少ない季節限定の制服類を廃止。運輸系制服のデザインは、紺色を基調とした「モダントラディショナル」スタイルを採用する。スタイリッシュでありながら動きやすさを重視した。
技術系の制服は伝統色のオレンジ色を変更せず、デザインや生地の性能により安全性や機能性を向上。作業時の不快感軽減のため、夏服の脇と背中部をメッシュ素材にするなどして通気性を高めた。
現行の制服は、環境に配慮し、伊藤忠商事とレゾナックが共同で行っている繊維リサイクル「アルケミアプロジェクト」でガス化処理し、二酸化炭素をほぼ排出することなく低炭素水素や低炭素アンモニアなどに生まれ変わらせる。
〈GOOD PLACE/従業員の声生かす〉
建築業のGOOD PLACE(東京都渋谷区)は、昨年10月に2023年から着手しているリブランディングの一環として、軽作業やイベント時に着用する新ユニフォームを導入した。素材には、有機フッ素化合物を使わない非フッ素撥水(はっすい)剤を使用した再生材を採用し環境に配慮した。
工事現場をはじめ、移動中の公共交通機関や顧客先でも着用可能なシンプルなデザイン。従業員の要望を反映させたユニセックスなデザインで、カラーは汚れが目立ちにくいグレーに統一した。
表地にはソフトな風合いと適度なハリ感が特徴の再生ナイロンを採用。メッシュ生地を随所に入れ、脇と肩にベンチレーションを設けるなど通気性と軽量性を実現した。製作協力はシューニャ(同)が担った。