どう なる? 産地の1~3月 (4)泉州・大阪南部

2025年01月23日 (木曜日)

漂う不透明感、不安感

 泉州・大阪南部の両綿織物産地の25春夏向け受注状況は、各社や分野で濃淡はあるものの足元は総じて堅調だ。ただ、ユニチカの繊維事業撤退も影響して先行き不透明感はかつてないほど強まっている。

 泉州・大阪南部ともにユニチカから織布依頼を受ける織布工場が複数存在する。ある織布工場は、ユニチカから丁寧な説明は受けているものの、譲渡先が確定するまでは「何も分からない」という。それがかつてないほどの不透明感の理由の一つだ。別の織布工場からは「(ユニチカの繊維事業撤退を受けて)不安感しかない」との声も上がる。

 ただ、商社筋からは「発注数量が減るという悪い話だけでなく、増える、あるいは織り加工料が上がるといった良い話もあるかもしれない」との観測も出ており、不安と期待が入り交じる。

 他産地と同様に、素材メーカーや商社からの発注が小刻みになり、小口化が進んでいるという傾向も不透明感の理由の一つだ。「今は小刻みに仕事が入っているが、締めた際に増えるのか減るのかが全く読めなくなった」と複数の織布工場がこぼす。そのため工場人員の適切な配置にも支障を来すことが増えたと言う。

 他方、泉州産地では有志で立ち上げた最終製品ブランド「和(わ)いのん」を通じた需要振興が盛んになってきたほか、大阪南部産地でも仕事の融通など横連携が活発化している。