中企庁/取引適正化で新対策案/価格決定の協議拒否禁止など
2025年01月22日 (水曜日)
中小企業庁は21日、取引適正化に向けた新たな対策案を提示した。サプライチェーンの取引階層ごとの課題に応じた価格の交渉、転嫁、支払いに重点を置く。各業界団体には固有の商慣行を踏まえた自主的な適正化促進を求める。
下請代金支払遅延等防止法(下請法)の対象取引では、コスト上昇時の不十分な価格転嫁に対する厳正な法執行を課題に挙げた。検討すべき対策として、協議に応じない価格決定を禁止する下請法改正案や、勧告を受けた企業への補助金交付、入札参加資格停止措置などを示した。
価格転嫁以外の課題では、代金支払い期間のさらなる短縮と現金払い化、型取引の適正化、知財保護の徹底を挙げた。これに対して手形による代金支払い禁止や、金型以外の木型、樹脂型なども新たに規制対象化することなどの対策を検討の方向性とした。
さらに下請法対象外のサプライチェーンの深い取引階層に対しても価格転嫁を浸透させる必要があるとした。対策として、下請中小企業振興法(振興法)改正で、取引多段階の事業者間連携による価格転嫁を促すことや、下請法と振興法の改正により資本金に加え従業員数も適用基準に追加することで対象拡大を図るなどの検討を進める。「下請Gメン」の調査結果を元にした行政指導強化の必要性も示した。
個別の企業間取引の是正に加え、業界ごとに受注者の利益を損ねる商慣習があるとして、29業種79業界団体がそれぞれの取引慣行を踏まえて策定した自主行動計画に沿った対応が必要とした。
この他、昨年9月に実施した価格交渉促進月間の結果から、10社以上の受注側中小企業が主要な取引先として挙げた発注企業211社の価格交渉と転嫁の対応状況をそれぞれ上位から「ア」~「エ」の4段階で評価した。繊維関連企業では、東レ「(価格交渉)イ・(価格転嫁)イ」、旭化成「ア・ア」、帝人フロンティア「イ・イ」などとなった。