繊維ニュース

豊島 廃棄される化粧品も循環へ

2025年01月22日 (水曜日)

 豊島は、商品化の過程で廃棄される化粧品のバルク(中身)を顔料インクの材料として再生させ、ファブリックプリントに活用する取り組み「エコスメファブ」を開始した。

 再生した顔料インクを使ってアパレル製品や雑貨を製造し、企業に販売するスキームを築いた。化粧品にまでリサイクルの対象を広げることで、業種の垣根の越えた循環事業の発展を図る。

 化粧品は、研究開発の段階で商品に使用できないバルクが発生し、多くが廃棄物として処理されてきた。モーンガータ(東京都練馬区)はこうしたバルクを化粧品メーカーから引き取り、TOPPANと共同で顔料インクにアップサイクルしている。

 豊島はTOPPANと連携し、再生した顔料インクでプリントした生地や製品を生産する。

 対象とする化粧品はアイシャドーで、色の種類が多く、インクに変える際の調合によって多彩な色の表現が可能になるという。

 豊島は21日から、東京本社(千代田区)で25秋冬総合展「2025AWトヨコレ」を開催しており、エコスメファブを新規プロジェクトとして紹介している。

 他にも、PLA(ポリ乳酸)繊維と廃プラスチック由来の再生アセテート繊維を組み合わせた新素材「プライア」なども披露している。

 会期は2月7日まで。

セミナーで異業種連携の実例

 豊島は21日、東京本社で第6回サステイナブルファッションセミナー「―お客さまとともに―資源の循環にJOINしよう!」を開催した。トヨタ自動車、アーバンリサーチから担当者を招き、循環経済をテーマに意見を交わした。

 豊島とアーバンリサーチは24年から、トヨタ自動車が推進する「トヨタ・アップサイクル」プロジェクトと3社連携の取り組みを行っている。

 同プロジェクトは、自動車の製造過程で発生する再利用が困難な廃棄物を再び原料とし、新しい商品・サービスに生まれ変わらせる。実際にトートバッグやペンケースなどを製造し販売した。

 トヨタ自動車新事業企画部事業開発室主幹の中村慶至氏は「自分たちだけでは気付けない切り口で事業を進められた」と語った。

 循環経済の研究者である安居昭博氏は「自動車の廃材が宝物に変わった事実はインパクトがある」と感想を述べた。

 3社連携の取り組みは。大阪・関西万博でも実施する予定だと言う。