カーペット 基布の調達課題に

2025年01月21日 (火曜日)

 ユニチカの不織布事業撤退で、カーペット基布の供給体制が揺らいでいる。国内カーペットメーカーからは、国内の生産拠点の確保や、複数メーカーによる供給体制を望む声が挙がる。

 タフトカーペットの1次基布に、ユニチカのポリエステルスパンボンド不織布(SB)が多く使われている。カーペット業界関係者によると、主力のタイルカーペットで4割、車両用ライン・オプションマットで6、7割のシェアを持っているとされる。建物の入り口などに敷くダストコントロールマットでも多く使用されている。国内では同業のフロイデンベルグ・スパンウェブ・ジャパン(大阪市中央区)と、大きく二分してきた格好だ。

 ユニチカは、岡崎事業所(愛知県岡崎市)、タスコ(タイ)でSBを生産する。カーペットメーカーによると、ユニチカから、SBについて2025年8月までに事業譲渡などで最終合意を目指すほか、26年9月までは生産を続けるとの説明があったと言う。

 すぐに影響が出てくるわけではなく、譲受企業の有無などで今後の状況は変わるが、カーペットメーカーからはSBについて「国内に生産拠点を残してほしい」「供給企業は複数あった方が良い」などの声が聞かれる。日本カーペット工業組合の永嶋元博副理事長は「サプライチェーンリスクが組合の大きなテーマ」とし、「どこにどんなリスクがあるのかを顕在化させて、組合としてどうしていくのかを考える」必要性を挙げる。

需要振興と地位向上へ

日本カーペット工組

 日本カーペット工業組合(永田鉄平理事長)は17日、新年互礼会を大阪市内のホテルで開いた。約140人が出席。カーペットの需要振興と業界の地位向上を一段と推し進める活動などに力を入れる。

 永田理事長は、カーペットが悪者に仕立て上げられる「ダニ問題」(カーペットとダニアレルギー症状を関連づける誤った見方)が組合の働き掛けなどで改善されてきていると強調。「これからますますカーペットの普及を目指して取り組んでいきたい」と話した。家庭用途でのウール使いのラグやロールの普及促進も呼び掛けた。

 米国のトランプ大統領就任の影響については、「日本から米国へのカーペット輸出はほとんどなく直接的な影響はないだろう」とした上で、「中国から米国へのカーペット輸出はあり、(関税引き上げなどで)行き場を失った(中国の)カーペットが日本に押し寄せる可能性もある」との見方を示した。