ISPO北京2025/地場ネット系の出展目立つ/東レ、モリリンが素材訴求

2025年01月15日 (水曜日)

 【北京=岩下祐一】スポーツ・アウトドア用品の見本市「ISPO北京2025」が10~12日の3日間、中国・北京の国家会議中心で開かれた。アウトドアウエアなどを手掛ける地場のネット通販ブランドの出展が目立った。日系出展者は、東レとモリリンが素材をアピールした。ショップのバイヤー、一般消費者ら多数来場した。

 今回展の出展者数は300社強で、昨年の(500社弱)を大きく下回った。地場大手アウトドア用品の¥文字(U+632A)客(ネイチャーハイク)が出展を取り止める一方、「熊猫」(ションマオ)や「駱駝」(キャメル)など、ネット通販を主力とするコスパの高い地場アパレルブランドが大型ブースを構え、存在感を示した。

 そのうちの1社の「UTO」(悠途)は、アリババのネット通販サイト「Tモール」(天猫)などで展開する新興ブランドだ。合繊やメリノウールを使った吸水速乾のインナーウエアを強みとしている。一般消費者への認知度向上を図るため、同展に出展したとみられる。会期中に自社ブースで、動画を配信しながら商品を売るライブコマースも行った。

 東レの中国法人、東麗酒伊織染〈南通〉(略称TSD)は、東レグループ全体で共同開発を進める防水透湿素材「ダーミザクス」を前面に打ち出した。同素材は、東レが23年からスタートした四つの素材ブランド「グローバル・メイン・ブランド」の一つで、中国内販の核になりつつある。今回展では、日常から登山などでの過酷な気象条件にも耐える幅広いラインアップを紹介した。

 モリリンの中国法人、上海茉莉林紡織品は、吸湿速乾性を持つ中わたや、原着糸使いの編み物、温度調整機能のある糸など、日本の技術や原料を使った素材を訴求した。遼寧省や山東省のODM工場との商談で手応えを得た。

 興和の中国法人、興和〈上海〉貿易は、ジェトロ(日本貿易振興機構)が組織するジャパンパビリオンに出展し、販売代行する「ナンガ」のダウンウエアの25秋冬新作と定番品をアピールした。華北や東北エリアでも知名度を高めつつあり、北京、天津、瀋陽、大連などのアウトドア系アパレル店への卸売りを徐々に伸ばしている。