ニッケ 営業益で4期連続過去最高へ

2025年01月15日 (水曜日)

 ニッケは今期(2025年11月期)連結業績の営業利益で120億円(前期比3・1%増)を計画し、4期連続の過去最高を狙う。売上高も1280億円(10・9%増)と過去最高を計画。成長ドライバーと位置付ける産業機材事業の不織布・フェルト事業の拡大を見込む。

 産業機材事業は昨年4月にフィルター関連などを加工・販売する東洋紡カンキョーテクノ(現カンキョーテクノ、大阪市中央区)、8月に短繊維不織布製造の呉羽テック(滋賀県栗東市)を買収したことで、前期売上高308億円(24・8%増)と大きく伸ばした。

 今期は390億円を計画し、うち不織布・フェルト事業の売り上げ規模は約250億円になる。ニードルパンチ式・ケミカルボンド式製法による不織布市場のシェアは国内で2位に浮上すると言う。

 自動車内装材、ごみ集塵(しゅうじん)機用フィルターなどの工業資材分野を中心に、中国やASEAN、北米地域の製造・販売拠点が拡充される。スクールユニフォーム、不動産開発に次ぐ事業の「第3の柱」への成長を目指す。

 エフアンドエイノンウーブンズ(FANS、大阪市中央区)から人材を派遣し、カンキョーテクノ、呉羽テックで「利益を生み出せる体制を作る」(岡本雄博取締役)。商品の得意分野を双方いずれかに寄せるなどで、稼働率向上のための連携にも努める。

 今期はグループで約119億円の設備投資を計画。うち不織布関連ではインドネシアへの設備増強で約7億6千万円、石岡工場(茨城県石岡市)へのリサイクル設備の導入で約5億1千万円を計画する。特にインドネシアでは自動車のシートやエアフィルターなどへ拡販しながら裾野を広げ「地産地消で考えている」(長岡豊社長)。

 今後、「市場規模は小さくても短繊維で少量多品種によってシェアを上げ、収益力を高める」(岡本取締役)方針。ある程度「中規模の企業で、(われわれと)近しい技術、サービスを持つ」(長岡社長)企業に対しM&A(企業の合併・買収)の検討も進める。

営業利益率10%超え

 ニッケの24年11月期連結決算は、売上高1154億円(前期比1・7%増)、営業利益116億円(5・7%増)、経常利益120億円(4・0%増)、純利益89億7千万円(17・4%増)だった(短信既報)。ユニフォーム地の拡販・価格改定や、車載電装品製造ラインのFA(ファクトリーオートメーション)設備の販売好調などから営業利益、純利益とも過去最高。営業利益率は10・1%となり、初めて10%を超えた。

 衣料繊維事業は主力のスクール、ビジネス向け双方のユニフォーム地販売が好調で、売上高315億円(0・6%増)、営業利益は34億5500万円(4・0%増)。産業機材事業は不織布関連企業の買収で増収。営業利益もFA施設の販売が貢献し19億7200万円(24・3%増)と大幅増。生活流通事業は売上高225億円(8・3%増)、営業利益8億4700万円(52・6%増)で、毛布の販売拡大が寄与した。

 今期は売上高1280億円、営業利益120億円、経常利益124億円(2・5%増)、純利益85億円(5・2%減)を計画する。