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素材メーカー/注目度高まる“高通気”/伸びる夏に商戦拡大

2025年01月09日 (木曜日)

 ユニフォーム市場では昨年、予想以上に暑い期間が長かったこともあり、夏物の動きが活発化している。特に生地の需要が多いワークウエアで在庫調整が解消されつつある中、素材メーカーでは昨年後半から販売が回復しつつある。中でも注目度が高まっているのが“高通気”。8カ月ともいわれる夏の期間に対し、高通気の素材、アイテムに商機が広がる。

 夏のロングセラー素材と言えば、シキボウの校倉(あぜくら)造り構造織組織の高通気生地「アゼック」。強撚糸にストレッチを加えるといった新たな素材バリエーションも拡充している。昨年は大手企業向けに別注のツナギ服の素材としても採用され、年間を通じて販売が拡大する傾向にある。

 一村産業はストレッチの「ラクストリーマ」に加え、高通気の「アミド」の販売が拡大。アミドでは昨年初めてクラウドファンディングに挑戦し、同素材を使ったフルレングスパンツを出品した。直接、消費者の声を捉えてモノ作りに生かすのが狙いだ。IEC(国際電気標準会議)に対応した高制電生地「エレジスト」もアミドと組み合わせることで、製造業のユニフォーム向けに販売が「相当量増えている」。

 クラボウもIEC対応の「エレアース」の販売が伸びており、最近はコンペでも「採用される確率が上がっている」。綿・ポリエステル混では業界初のIEC規格対応という独自性も強み。新たに高通気でストレッチ性のある生地「ジェットエアー」と組み合わせた素材を打ち出した。

 防護服は通気性のないタイプが一般的だが、東レではバリア性だけでなく通気性を確保した防護服「リブモア」の販売が堅調。猛暑を受け、リブモアに切り替えた企業も多く見られたと言う。他にも透け防止・紫外線カット・クーリング機能などを併せ持つ「スプリンジー」、原糸や加工技術を駆使して生地に通気孔を発現した「ドットエア」といった素材をそろえており、幅広い暑熱対策素材でニーズを捉える。

 帝人フロンティアは 高通気とストレッチ性を両立させた「エアーインプレッション」や、汗処理機能に優れた「トリプルドライカラット」といった素材を展開。夏の期間が長くなっていることを受け、特殊仮撚り糸と特殊織・編み構造を組み合わせ、防透性と高い紫外線遮蔽(しゃへい)率、遮熱性などの特徴を持つ「ウェーブロンUP」も、受注が「着実に増えつつある」と言う。