繊維ニュース

繊維5団体 問われる“不確実性”への対応力

2025年01月07日 (火曜日)

 日本紡績協会、日本化学繊維協会、日本綿花協会、日本繊維輸出組合、日本羊毛産業協会の繊維5団体は6日、大阪市内のホテルで「新年名刺交換会」を開いた。不安定な国際情勢に加え、今月20日に米トランプ政権が発足し、先行きの不透明感が強まる中、今年は“不確実性”への対応力が問われてきそうだ。

 冒頭のあいさつに立った日本羊毛産業協会の富田一弥会長は、厳しい経営環境が続く中、「業界を挙げてSDGs(持続可能な開発目標)の実践と技術革新を通じて、価値転換できる商品を作り、価値創造に取り組んでいかなければならない」と話した。

 素材メーカーや商社の首脳は、今年の景況について「緩やかに回復基調になっている」(東レの沓澤徹専務執行役員)ものの、「中国経済の回復が遅れている」ことを懸念。「大きく悪くならないと思うが、大きく良くもならない」(クラボウの藤田晴哉会長)との見方を示す。

 特に20日のトランプ政権発足後の影響に関しては「全く読めない」(東レの沓澤専務執行役員)との声が多い。いずれにしても、「どのような環境下でも“勝てる領域”で戦うという戦略」(同)、「やるべきことは着実にやる」(シキボウの尻家正博社長)といった実行力が問われてきそうだ。

 これからは「不確実性の時代」(クラボウの藤田会長、スタイレム瀧定大阪の瀧隆太社長)に入りつつある。トランプ政権がどういった政策を採るにしても「国際情勢への影響が大きい」(東洋紡の竹内郁夫社長)だけに、「良いことも悪いことも起こり得るだろうが、しっかり注視して備えておくしかない」(スタイレム瀧定大阪の瀧社長)。

 世界経済の大きな流れとしては「中国から他の地域・国に資金が逃避している」(クラレの佐野義正取締役)点も挙げられる。「開発への重要性が高まり、チャンスが増える」(大和紡績の有地邦彦社長)として、追い風をうまく捉えられるかもポイントになってきそうだ。