検査機関/多様な機能を持つ機関へ/カケン/ボーケン/QTEC/ニッセンケン/ケケン
2025年01月06日 (月曜日)
気候変動やインフレに起因する衣料品需要の低迷、アパレル企業による適時・適品・適量生産など、日本の検査機関を取り巻く環境は厳しい。事業環境の劇的な好転は期待できず、各検査機関は変化の時を迎えていると言える。試験・検査だけではない多様な機能を持つ機関へ。各機関が取り組みを加速している。
〈業界のサステ対応リード/カケン〉
カケンテストセンター(カケン)は、サステイナビリティーへの対応が不可欠となる中、試験・検査はもちろん、ライフサイクルアセスメント(LCA)の算定など、幅広いメニューをそろえ、サステを意識する企業を支える。繊維産業のサステ加速をリードするという気概を持って取り組みを推進する。
この数年間で地球環境問題やサステに対する企業・消費者の意識は大きく高まっている。カケンとしても2023年に立ち上げた組織をサステナビリティ経営推進部に発展するなど取り組みを深化している。関心が集まっているLCAについても算定・支援、コンサルティングを行い、実施件数や問い合わせも増えてきた。
25年もサステ対応に継続して力を入れるとともに、海外事業の強化にも目を向けている。昨年は、ベトナムのホーチミンに独自の試験室(子会社)「MTVカケンベトナム」を新たに開設した。スタッフ40人規模でスタートを切ったが、人員は順次拡大を図っていく。
海外の法規制を知りたいという要望も増加しているが、東南アジア諸国や欧米、インドなどの12カ国の法規制に対応している。職員一人一人が顧客の細かい要望に応えている。
〈人権までサポート/ボーケン〉
ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、従来の納品前検査を中心とした検査機関から、依頼企業の品質、環境、人権までの取り組みをサポートする“品質パートナー”としての第三者試験機関へと進化している。
現在、「繊維」「品質支援」「生活産業資材」「認証・分析」「機能性」「海外」の6事業本部制を敷き、高度な知識・知見を持つプロフェッショナル集団としての成果を上げている。その一つが、品質支援事業本部が担う品質支援業務。品質基準書の作成・管理をサポートするほか、商品リスクチェック、品質表示の確認なども法令確認まで含めて助言する。工場での品質管理監査(工場QC監査)の支援と改善のための生産技術コンサルティングを行い、受注件数は右肩上がりで増えている。
認証・分析事業本部は、繊維・皮革産業の有害化学物質排出ゼロを目指す非営利団体ZDHCの化学物質在庫表の第三者検証機関として認定ソリューションプロバイダーの一つであるドイツのゴーブルーと提携するなど体制を拡充した。
機能性事業本部は花粉・ダニ由来の特定タンパク質の低減活性評価試験を開始し、依頼企業の要望に応える独自開発試験やカスタマイズ試験にも力を入れる。
〈新たな挑戦続ける/QTEC〉
日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、進行中の現中期経営計画を2025年3月期に終了する。定性目標は達成できる見込みで、来年度からの次期中経についても財団一丸で取り組む。「顧客に選ばれる検査機関」「100年続くQTEC」の実現に向け、変化と新しいことへの挑戦(サムシングニュー)を続ける。
中経では幾つもの重点施策を掲げる。一つは試験技術の開発推進と試験精度の維持・安定・向上で、もう一つは営業体制の再評価と強化。そのほかにもデジタル技術で業務を変革するDXの継続強化やサステイナビリティーの推進に取り組んでいるが、これらと並んで重視するのが人材だ。
この数年で職員のコミュニケーションが良くなったとし、東西拠点の連携が深まった。国内外の各拠点にも波及している。未来に向かって話し合う「未来志向のコミュニケーション」や相手に対するリスペクトが生まれ、これらは営業面にも好影響をもたらす。
現中経は大きく五つのテーマを掲げたが、次期中経はテーマを二つに絞り込み、一致団結して取り組む。サステ重視の流れは変わることがなく、それをいかに経済的価値に結び付けるかがポイントになるとした。
〈認証業務も強化/ニッセンケン〉
ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、試験・検査業務はもちろん、認証業務も強化し、社会になくてはならない価値ある企業であり続ける。中長期的視点では「品質課題のソリューションパートナー」として人々の「安心・安全・健康」な暮らし、地球環境の保全に貢献する。
2023年に設立75周年を迎え、昨年にはコーポレートロゴのデザインを刷新するなど、100年企業に向けて確実に歩を進めている。検査機関を取り巻く環境は厳しい状況が続いているが、駒田展大理事長は「事業環境の改善は見込めない。自らを変える必要がある」と強調する。
その一環として、国内事業の効率化と事業の中身の再編成に取り組む。独自の試験開発も不可欠とし、リカバリーウエアなど機能性衣料の着用時の効果を評価する方法の開発などを検討する。
海外事業は機能性試験の拡充などで各拠点の存在感を高める。
繊維製品の安心・安全を証明する「エコテックス」認証については、問い合わせ業務が着実に増えている。エコテックス国際共同体(スイス)もウェブサイトに日本語ページを開設するなど普及に努めており、ニッセンケンも積極提案する。
〈TE認証件数3.5倍めざす/ケケン〉
ケケン試験認証センター(ケケン)は、試験・検査業務を主体としつつ、認証業務の強化を図っている。その柱になるのが、環境保全などに配慮しているエシカル(倫理的)な繊維製品を認証するテキスタイル・エクスチェンジ(TE)だ。2024年度(25年3月期)は認証件数で前年比3・5倍に挑戦する。
試験・検査、認証業務ともに新規顧客獲得に力を入れているケケン。24年4~9月期の売上高は前年同期比微増での着地となったが、既存顧客に加え、人員拡充による営業力強化で新規顧客が増えたことなどが奏功した。TEの認証件数も2・5倍に達している。
継続的に取り組んでいる対応可能試験を毎年10個ずつ増やすという方針に変更はなく、試験・検査業務を強化する。
認証業務は、特定技能1号とも絡む「GRS」(グローバル・リサイクルド・スタンダード)や「RCS」(リサイクル・クレーム・スタンダード)を軸に増やす。
「環境ラベルの自己宣言」の支援にも目を向ける。国内ではまだ浸透していないが、自社で設定した基準を満たすことで環境への配慮を示すのが自己宣言で、「ISO14021」によってルール化されている。