ごえんぼう
2024年12月20日 (金曜日)
やっと黄色に染まった近所のイチョウ木立。出勤途中、銀杏を警戒しながら歩いていると、黄色い落ち葉の間に手袋を見つけた▼毛糸の小さなミトンが片方。日中探しに来るかもしれない。近くのベンチに置いて駅へ急ぐ。ふと、絵本『てぶくろ』を思い出した。雪が舞う森の中、おじいさんが落とした手袋もミトンだった▼そこにネズミが住むと、カエルやウサギなどが次々とやってきて、少しずつ詰めながら一緒に暖まる。怖がりつつオオカミも招き入れる。手袋はどんどん膨らみ張り裂けそう。大きなクマが入ったところで、手袋を探しに戻ったおじいさんの飼い犬が吠え、動物たちが一斉に逃げ出して物語は終わる▼ぎゅうぎゅう詰めでも、怖そうな相手でも受け入れる動物たちにほっこりする。だが結末は、それが夢物語だと風刺しているのか。ウクライナの民話。戦禍の各地が一日も早く安息の“手袋”になるようと願う。