三井化学・不織布事業 合弁シナジー前倒しで追求

2024年12月19日 (木曜日)

 三井化学は18日、東京都内で事業戦略説明会を開催し、不織布事業の現況や今後の方針を説明した。旭化成との合弁会社は、統合シナジーを予定よりも早く発現させるほか、産業資材の強化によって持続的な収益拡大を目指す。

スパンボンド不織布(SB)は、市場動向を見極めて生産能力の最適化を検討する。

 不織布分野について同社は、旭化成との合弁会社であるエム・エーライフマテリアルズが立ち上がった2023年10月よりも「事業環境が悪化している」と捉える。新型コロナウイルス禍の下で実施された中国の設備増強の影響が顕在化し、安価な不織布や製品が日本やASEAN地域に流入しているとした。

 エム・エーライフマテリアルズもタイにおける不織布・紙おむつ製品の稼働率低下といった影響を受けているとし、統合シナジーの前倒しでの発現を追求する。生産・技術や合理化を中心に27年度から一気に発現するとみており、30年度には合弁設立時の予想と比べ、約2倍の効果が得られるとした。

 販売施策では、産業資材分野の強化を加速する方針で、重点セグメントを半導体市場と環境対応向け食品包装材市場の二つに設定する。半導体向けでは極細繊維のメルトブロー不織布(MB)で微細化ニーズをつかむ。食品包装向けでは家庭用コンポストで堆肥化可能な製品を開発・展開を進める。

 産業資材の収益貢献度のイメージは24年度が30%台。27年度に40%台、30年度には50%台に引き上げる。

 SBについては衛生材向けで差別化や高機能・高価格帯へのシフトを進める。徹底的なコストダウン・合理化も推進するとし、タイ子会社2社の組織体制を変更して人員最適化を図った。SBの生産能力は「ユニチカの事業撤退を含め、市場の動きを見極めながら最適な規模を考える必要がある」とした。