日本エクスラン工業 通期も黒字確保へ
2024年12月19日 (木曜日)
東洋紡グループのアクリル繊維メーカーである日本エクスラン工業(岡山市)は、これまで実施してきた構造改革の成果もあって2024年度上半期(4~9月)業績が営業黒字を回復した。通期でも黒字確保を至上命題としており、そのためにアクリレート繊維を含めた機能素材を中心とした拡販と新規用途開拓に一段と力を入れる。
24年度上半期は、採算改善のために大幅な値上げを断行したほか、中国への輸出も採算重視の姿勢を徹底した。このため国内外ともにセーターなどアウター用途の販売量は減少したが、住谷龍明取締役は「値上げに伴うある程度の失注は想定内。7~9月で値上げは完了した」と話す。
一方、極細繊度わたなど差別化品やアクリレート繊維を含む機能素材の販売は堅調に推移した。衣料用途はインナーやレッグ、手芸が堅調。寝装・リビング用途はアクリレート繊維がSPA向けで販売拡大が続いている。また、資材用途はブレーキ・クラッチ摩擦材の添加材やフィルター材の販売が堅調だった。
値上げと一部用途での拡販、減産と生産体制の再編など構造改革を実施した効果で24年度上半期は1億円強の営業利益を計上し、黒字浮上した。住谷取締役は「通期でも黒字確保が至上命題」と強調する。下半期は衣料用途が需要期に入り、円安の追い風も続きそうなことから地合いは悪くない。その上で「メディカル」「環境」「次世代エネルギー」を重点3領域と位置付け、新規用途開拓にも力を入れる。
メディカル領域は、高吸水機能アクリレート繊維「ランシール」が欧州で創傷などに対する湿潤療法に使用する先端創傷被覆材として採用されるなど成果が出ている。環境領域は高分子吸着剤であるデシカント材料による吸湿材「デシカントローラー」などの採用拡大を目指す。次世代エネルギー領域は次世代太陽光発電の材料として機能微粒子などの開発を進めている。