成長期の 中国リサイクル ポリエステル メーカー(1) 浙江佳人新材料【前】

2024年12月17日 (火曜日)

海外顧客メインの最大手

 中国のリサイクルポリエステルメーカーが、攻めに転じる。欧米市場向けが拡大し、成長期に入ったことが背景だ。本連載では、大手メーカー2社のこれまでや最新動向を紹介する。1社目は、「繊維to繊維」のケミカルリサイクルポリエステルメーカー最大手、浙江佳人新材料(ジャーレン)。

(上海支局)

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 中国のケミカルリサイクルポリエステルのパイオニア、浙江佳人新材料は、浙江省の大手民営企業、精工ホールディング集団(ジンゴン)傘下の企業だ。ジンゴンは、建築構造用鋼材、太陽光発電・炭素繊維設備、酒類製造(紹興酒)の三つの上場企業を核に、幅広い事業を展開する。傘下企業の1社、浙江佳宝新繊維集団(ジャーバオ)は、ポリエステル原糸の年産能力40万㌧の合繊メーカーだ。

 ジャーレンは2012年、ジンゴンが51%、帝人が49%を出資する合弁会社として設立された。「『佳人』の『佳』は佳宝の佳、『人』は帝人の人から採られた」と、姜龍春・総経理補佐は説明する。帝人のケミカルリサイクル技術を導入し、ポリエステル繊維の端材や使用済みポリエステル製品などを原料に、リサイクル繊維を生産する中国初のメーカーとして鳴り物入りで創業した。

 同社は、15年にポリエステル原糸年産2万5千㌧の量産ラインの稼働に成功する。しかし赤字が続き、「16年に帝人が所有するジャーレン株式をジンゴンに譲渡したことで、ジャーレンはジンゴン100%子会社になった」(姜氏)。

 その後、ジャーレンは帝人と技術ライセンス契約を結び、生産と販売の両面での協業を継続する。17年には帝人の基幹技術と国内技術を組み合わせ、年産能力を3万㌧に拡大した。

 欧米市場の拡大を背景に、18年に黒字転換する。19年にはカチオン染色が可能なリサイクルポリエステルチップや、難燃性の同チップなどの開発に成功。翌年からは新型コロナウイルス禍の影響を受けながらも、成長を維持した。欧米市場のさらなる拡大が見込まれる中、22年には年産15万㌧規模の第2工場を起工した。

 同社の最終顧客は現在、欧米メガスポーツブランドを中心とした海外顧客が大部分を占め、国内ブランドは少ない。市場別売上高は国内80%、海外20%だが、国内80%の多くは地場の生地工場や生地商社を通じ、海外に輸出されている。