ごえんぼう

2024年12月12日 (木曜日)

 兵庫県知事選が終盤を迎えた先月、SNSの投稿で斎藤元彦氏を推す「うねり」のような感覚を覚えた。筆者は都内に在住し投票する権利はないが、SNSのタイムラインが同氏の内容で埋め尽くされた▼先月26日付の読売新聞は「推し活の心理が拡散」と見出しを打った。県議会や大手メディアとの対立関係をSNSで見た有権者は、同氏に対し「いじめられた被害者」との構図で捉えていたと言う▼独りぼっちの選挙活動から、なぜうねりを起こせたのか。昔であれば判官贔屓(びいき)とも例えられるが、今は違う。同情という名の「拡散」が明暗を分けた▼新聞やテレビでも本格的な分析はされていない。メディア不信が根底にあるのか、さらに理性的な思考が低下する群集心理はSNS上でも働くのか、検証は必要だろう。斎藤氏の公式SNSの視聴数をはるかに凌ぐ“切り抜き動画”は、現在もネット空間にあふれている。