北陸ヤーンフェア レビュー(10)

2024年12月11日 (水曜日)

機料店が独自品訴求

 今回展では福井、滋賀、愛知3県の機料店が顔をそろえた。宮下機料(福井市)は中国・尹創科技製のエア式残糸処理機を出展した。カッター式もあり、紙管、ボビンなど各タイプに対応する。価格は200万円台。

 尹創科技は国際繊維機械見本市「ITMAアジア」にも出展する企業で台湾企業に納入実績があるが、日本での実績はまだない。残糸処理をせずに廃棄すると産廃処理費用がかかる。通常は鎌の刃カッターで手作業だが、人手不足や安全性からニーズはあるとみる。

 その他、パンフレットで山清工業(福井県鯖江市)製の仮撚り加工機用ディスクも紹介した。北陸ヤーンへの出展は2019年の福井開催以来となるが、想定以上の来場があり、手応えを得た。

 丸中商店(滋賀県長浜市)は機料店としての機能だけでなく、独自装置の設計・製造・販売までも行う。今回展は製織後の生地を一定張力で巻き取るロードセル(機械的な力を電気信号に処理)制御方式の大径巻き取り装置「MTCW」をメインに紹介した。

 生地張力をテンションロールで検知し巻き取り速度を自動制御するため、巻径変化やメカロスなどの影響を受けない。巻き始めに張力を設定すれば巻き終わるまでの調整が不要になる。

 従来、滋賀県・高島産地の産業資材機屋など県内向けの販売がメインだったが、地場だけでは成長は難しいとして初出展した。MTCWは藤堂製作所(京都市)も販売を担う。

 小林商店(愛知県高浜市)も初出展。機料店の業務に加え、水道設備などのメンテナンスも行う。石川製作所の繊維機械の部品の取り扱いも多く、台湾やインドネシアにも販売代理店がある。今回展は細巾織物用自動検査機をメインに訴求した。

 懇意の細幅織機メーカー、吉田機械(石川県白山市)が搬送装置を製造。カメラ撮像・制御・プログラミング企業にカメラ、照明の設置と自動認識の制御を担ったもの。検査物に合わせフルカスタマイズできる。細幅織物用の自動検査装置が少なく、セッティングも難しいため反響があったと言う。

 検査装置などの機器販売を行う、アルス(大阪府吹田市)も今回が初出展となる。ビデオで紹介したイタリア・メスダンラボ製のリサイクル試験機への関心が高く、詳細を知りたいという声が幾つかあった。その他にもドイツ・プロテクナ製糸切れ監視装置「レーザーストップ・ルーム4082」、イタリア・ROJ製緯糸フィーダーも紹介した。

 繊維機械製造の藤堂製作所は2年連続の出展で、前回同様にワープリージングマシン「TC―700」を実機展示した。ドローイング、タイイング、ビームキャリアもパンフレットなどで紹介したが、会期中に各種見積もり依頼もあるなど手応えを得た。TC―700は国内販売の大半が北陸産地企業向け。老朽化設備からの更新を見込む。

 継続出展するコスモサミット(金沢市)はデータ化が困難な古い設備をカメラで撮影し、画像認識技術でデジタルデータに変換する製品(カメラ、ソフト)「ソフィックスキャン・オメガ・アイ」をメインに紹介した。織機や仮撚り加工機などの旧設備を改造する必要がないのがメリット。今回は現物展示で分かりやすい提案が奏功し、注目を集めていた。

 次回(2025年)の北陸ヤーンフェアは福井市で、11月開催を予定している。(おわり)