ごえんぼう

2024年12月11日 (水曜日)

 韓国映画の面白さの一つに、“社会派エンタメ”がある。実話をベースに社会の暗部を取り上げる手法が国際的に評価されている▼民主化運動をテーマにした映画もその一つ。戒厳令が全国に発令され、軍隊が民主化運動を弾圧した1980年5月の「光州事件」を舞台にした『タクシー運転手~約束は海を越えて~』や、学生運動家の拷問死をきっかけに87年6月の「6月民主抗争」へとつながる民主化運動を描いた『1987、ある闘いの真実』がある▼両作品では国家による理不尽な暴力も強く印象に残る。人の尊厳を踏みにじる拷問や虐殺シーンに、強い衝撃を受ける▼3日夜の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による非常戒厳宣言。暴力による支配を再び許してはならないとの思いも国会議員や市民を突き動かしたのではないか。6時間後に非常戒厳は解除されたが、この出来事をも映画にできる国であってほしいと願う。