北陸ヤーンフェア レビュー(8)

2024年12月06日 (金曜日)

最新ワインダー一堂にそろう

 今回はワインダーメーカーが広く出展した。ワインダーは近年、外注先の廃業による内製化を含めて設備投資がにわかに進みだしている分野の一つで、各メーカーは最新機による生産性・品質向上や省人化などの利点を訴求した。今では希少となった国産撚糸機の提案も見られた。

 TMT神津は、前回展に続いて化合繊用リワインダー「ワインディングマスター」を紹介した。親会社のTMTマシナリーとTMT神津の技術を融合して開発した機種で、FDY、DTY、ATY、撚糸、カバーリング糸、モノフィラメントなど幅広い糸種に対応し、染色用ソフト巻きからラウンドショルダー巻き、高密度巻きなどさまざまな巻き取りが可能。1錘単位で導入できる特徴もあり、ブースではコーン巻きを実演した。

 今回はより幅広いボビンサイズに対応できる形に改良した。更新の際に仕様変更なく導入したいという声に応えたもの。ブースでは多様なボビンサイズへの対応のほか、生産性や小ロット対応を含めて好評を得た。

 SSM(スイス)の日本代理店を務めるワインダーワークス(大阪市中央区)は、2回目の出展。ブースでは長繊維用プレシジョンワインダー「ZENO―YW」や染色用ボビン巻き取り「XENO―FW」、エアジェット加工機「DP5―T」など幅広く扱い商品を紹介した。日本での技術サポートは、SSMの極東・東南アジアチームが対応しており、今回も担当者が来日してブースで対応した。

 村田機械は、自動ワインダー「AIcone」(アイコン)と渦流精紡機「ボルテックス」を紹介した。アイコンは昨年開催の国際繊維機械展示会「ITMA2023ミラノ」で発表した最新機種で、制御のスマート化でアラームの少ない機種にしたことなどが特徴。日本市場ではオートドッファーなど省人化が可能な機種としても注目され、生産性や操作性、省エネ性なども向上させている。

 ボルテックス糸は「毛羽が少ない」「毛玉を抑える」「洗濯に強い」「プリントが奇麗」「水を吸いやすい」などの特徴を訴求。洗濯時の繊維脱落も少なく、一般的な精紡機よりも小ロット生産がしやすいなどサステイナビリティーの面でも注目されている。長繊維を芯に短繊維でカバーしたフィラメントコアヤーンの生産も可能で、原着フィラメントを使った「コアカラー」も紹介した。

 産業資材用ワインダーを製造するテムテック(京都市)は、今回が初出展。旧鳥居鉄工所のOBが2003年に創業した企業で、鳥居鉄工所製の機械の部品供給や改造などにも対応している。

 会期中は旧鳥居鉄工所製の設備に関する問い合わせのほか、これまで付き合いがなかった企業の訪問も多かったと言い、産業資材系の企業から具体的な話があるなど成果を得た。ブースでは産業資材用ワインダーを実機展示したが、ギアレスでワインド数の切り替え時間を大幅に短縮し、切り替えもタッチパネル設定で簡単な点などが好評を得た。

 同社は21年に自動車向けの省力化機械を製造するムカエ(兵庫県淡路市)のグループ会社となっており、ムカエの技術を組み込んだカード巻き装置も紹介した。

 3回目の出展となる日本紡織機械製造(愛知県一宮市)は、日本では希少となった国産撚糸機メーカー。グラスファイバー用が主力で、今回も引き続きジャンボ撚糸機を展示し、多くの来場者を集めた。これまでの出展でも成約に結び付けており、今回展でも手応えをつかんだ。撚糸機の製造販売に加え、既存の撚糸機のギアレス化などの改造にも対応している。