北陸ヤーンフェア レビュー(7)
2024年12月05日 (木曜日)
ロボットで自動化
繊維機械では、自動化の提案のほか、会場での声を新しい開発に生かそうとする動きも見られた。
伊藤忠マシンテクノスは、今回展で最大の5小間を使って出展し、ネウラロボティクス(ドイツ)の自動協働ロボットを実演展示した。大手自動車メーカーなどで導入が進んでいる機械で、今回展を機に繊維での提案も本格化する。
自立型走行ロボットとロボットアームを組み合わせ、さまざまな工程を自動化する。人工知能(AI)で対象物の状況を判断して柔軟に作業するなどの特徴もあり、会場での実演は多くの来場者から注目を集めた。
イテマウィービングジャパンは、レピア織機「R―9500エヴォ」やレピア製織での左ミミをなくすことができる装置「iSAVER」(アイセーバー)などを紹介した。R―9500シリーズは2013年から販売を開始したが、日本での設置台数が累計600台を超えるヒット商品になっている。性能や扱いやすさなどが評価されている形で、今回展ではユーザーの協力を得て、各産地の生地サンプルを多く紹介した。三備、播州、尾州、泉州タオルや九州地区などさまざまな産地の生地を並べ、プロジェクタイルによる資材関連なども紹介した。
エディーは、日本での代理店を務めるLGLエレクトロニクス(イタリア)のフィーダーやピカノール(ベルギー)の織機を紹介した。LGLのフィーダーは織機用や編み機用など幅広くそろえるが、近年は繊細な張力管理が求められるストレッチ糸を使った生地が増える中で販売を伸ばしている。古い機械のフィーダーだけを最新機に入れ替え、投資額を抑えながら品質向上を図る動きで、織物から始まってニットにも広がっている。デジタル化が進む最新フィーダーにより、これまで重量で見ていた生産量をデジタル管理に変えるユーザーも増えている。
ストーブリは産地企業との交流を主眼に出展し、展開する商品を総合的に紹介した。今回は特に産業資材用のダブルレピア織機「TF20」を訴求し、ドイツから技術者が来日して説明した。
TF20はストーブリグループになっているションヘルの技術を生かして開発したもので、多重織りは50層も可能。織物の厚みは70㍉まで調整でき、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維などの素材に対応する。
津田駒工業は昨年に続いて織機用のパーツを中心に展示した。古い織機でもパーツを最新式に入れ替えることで省エネや利便性向上などにつなげることができる。ブースでは織機ユーザーとの関係強化を狙いに、先端の形状を変えてエア消費量抑制などにつなげるコアスパンヤーン用スレッドガイドや糸の識別がしやすいボビンホルダーなどさまざまな最新パーツを紹介した。新たな提案では、炭素繊維を素材にした織機用パーツも紹介した。
豊田自動織機は今回が初出展。開発中の新型コンパクト精紡機を先行紹介し、ニーズをフィードバックして開発につなげる狙いで出展した。精紡機はこれまで綿100%での開発を重視してきたが、市場ではポリエステルやセルロースなど他繊維使いの紡績糸が増えている。このため、さまざまな素材に対応できるようコンパクトの設定に自由度を持たせる方向で開発を進めている。「来場者からの情報も得て、本当に必要なのかを含めて確かめることができた」とし、今後の開発に生かしていく。