「APTEXPO2024」出展者に聞く/ガ・ドン・グループ執行副会長 グエン・ヴァン・トゥアン 氏

2024年12月03日 (火曜日)

 11月13~15日の3日間、シンガポールで開かれた「アジア太平洋繊維アパレルサプライチェーン博覧会・サミット」(APTEXPO2024)には、ASEAN地域の工業団地の出展者の姿が目立った。その1社、ガ・ドン・グループは、ベトナム・ナムディン省で「オーロラ繊維工業団地」を運営する。グエン・ヴァン・トゥアン執行副会長に、同工業団地の特徴や今後の展望を聞いた。(シンガポール=岩下祐一)

――「オーロラ繊維工業団地」の概要を。

 繊維アパレル専門、中でも染色加工に強い工業団地として、2018年に第1期を開業しました。第1期の敷地面積は5・3平方キロで、日本の東レが出資する香港の丸編み地大手、互太紡織(パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングス)と、同じく香港のOEM最大手、晶苑国際(クリスタル・インターナショナル)、台湾の染色加工メーカー、捷宏紡織(ジーホン)、ポリエステルの仮撚り加工糸(DTY)とタオルなどを生産するシンガポール企業、三邦実業(サンバン)、台湾の紡績糸メーカー、陳台(チェンタイレース)、紡績、織布、靴のアッパー材の染色加工を手掛ける中国メーカー、協龍(シエロン)が入居しています。

 最大の特徴は、染色加工に必要な設備を備えていることです。周辺には河川が流れ、水資源が豊富です。排水処理施設やボイラー施設も完備されています。

――ベトナムでは、染色加工の新規工場の新設許可が容易に下りないと聞きます。染色加工ができる工業団地は珍しいですね。

 ベトナムには400余りの工業団地がありますが、染色加工ができるところは多くありません。染色加工は専門的な設備が求められますが、そうした設備を整えるのが容易ではないからです。

――工業団地として繊維アパレル、それも染色加工に焦点を当てた理由は。

 繊維のサプライチェーンのバランスが不均衡で、川中の投資が求められているからです。

 ベトナムは綿糸の世界最大級輸出国ですが、生産される糸の半分は中国などに輸出され、残り半分のみ自国で生地にされています。一方、ベトナム国内の生地の需要は高まるばかりで、自国生産だけでは生地の供給が追い付きません。そのため、中国などから生地を大量に輸入しています。需要の半分以下しか生地を自給できていないのです。

 これを受け、政府は30年に国内で求められる生地の65%を自国産で賄っていく方針を打ち出し、生地の自給を推進しているのです。こうしたことから、川中に強い繊維専門工業団地にチャンスがあると考えました。

  ――今後の計画は。

 第2期を今後開業する予定です。敷地面積は8・4平方キロになります。国内外の染色加工や、生地メーカーの入居を進めていきます。