シキボウ/「コットレジン」注目度上昇/繊維以外の出口広げる
2024年12月03日 (火曜日)
シキボウは、従来廃棄されている綿素材を再利用したバイオマスプラスチックペレット「コットレジン」の用途開拓に力を入れている。ペレットにできるのは基本的に綿100%素材となるが、ポリエステル・綿混もペレット化し、さまざまな樹脂に混ぜて活用できるかどうかの実証も進める。「繊維以外の出口を広げる」ことで、高まる環境配慮へのニーズを捉える。
コットレジンは従来廃棄されていた綿素材をミクロサイズまで細かくし、ポリプロピレン樹脂と混ぜることによって物性が向上。従来のプラスチック製品はもちろん、より強度や耐久性に優れた成形品が得られると期待される。製品の薄肉化にも貢献でき、樹脂の使用量削減や軽量化も見込める。
4月に立ち上げた新事業開発室を中心に販路開拓を進めており、10月に幕張メッセ(千葉市)で開かれた「サステナブル マテリアル展」に出展した。さまざまな業界のプラスチック成型メーカーや自動車、電化製品、容器など異業種のメーカー関係者がブースを訪れ、「いろいろな問い合わせが来ている」と、好感触を得た。日本有機資源協会の「バイオマスマーク」も取得している。
10月に本社や東京で開いた素材展示会でもアパレルメーカーや商社からの関心が高かった。同社では新内外綿と連携する繊維廃材のアップサイクルシステム「彩生」を構築している。コットレジンでは、繊維と異なるプラスチックの製造工程で使うという点に「目新しさを感じるのか、興味を持ってもらった」。
今のところペレットにできるのは基本的に綿100%素材となるが、ポリエステル・綿混素材での実証も推進。ポリプロピレン以外の樹脂と混ぜて活用できるかの実験も進める。
製造技術では特許出願済み。セルロースナノファイバーに比べ、コットレジンのようなマイクロファイバーは「コスト的に使いやすい」部分もある。国内の繊維製品の廃棄量は年間約73万トンともいわれ、大半が焼却や埋め立て処分されている中、今後さまざまな企業との連携が広がりそうだ。
織布・染色加工の子会社シキボウ江南(愛知県江南市)では来春までに量産機を設置する予定で、3年後に3億円の販売目標を掲げる。