新時代に向かう 商社繊維事業 4~9月期決算から(5)
2024年11月29日 (金曜日)
市況回復で収益性改善
スポーツ中心に好調 クラレトレーディング
クラレトレーディングの1~6月期連結決算は、取扱高782億円(前年同期比9・6%増)、売上収益322億円(11・3%増)、営業利益27億4300万円(19・3%増)、経常利益27億8900万円(16・1%増)、純利益19億3500万円(15・7%増)だった。
繊維関連は取扱高207億円(1・6%増)、売上収益155億円(2・4%増)、営業利益10億5700万円(9・5%増)。衣料分野は製品がスポーツ衣料中心に堅調に推移し、増収増益だった。ユニフォーム用途はワークウエア分野で不採算品を縮小し、白衣・ヘルスケア分野も販売減少で減収となったが、増益を確保した。資材分野はメディカル用途が物流費上昇と円安の影響で減益だったが、人工皮革「クラリーノ」が自動車用途やスポーツシューズ用途で堅調に推移し、増収増益となった。
通期は取扱高1610億円、売上収益670億円、営業利益57億円、経常利益58億円、純利益39億円を見込む。
価格転嫁追い付かず ユニチカトレーディング
ユニチカトレーディングの単体業績は売上高131億円(前年比3・0%減)、営業損失3億円(前年は2億円の損失)、経常損失4億円(同2億円の損失)、純損失3億円(同1億円の損失)と赤字が拡大した。物流費や加工料金など全体的にコストが上昇する中で価格転嫁が追い付かなかった。
ユニフォーム用途は官需が堅調で、企業別注も東京市場を中心に好調だったが、そのほかの民需が低調だった。婦人服地、寝装、スポーツなどの用途も勢いがない。一方、デニムの輸出は順調に拡大した。
下半期は価格改定や他社とのアライアンスの拡充、グローバル展開の拡大などに取り組み、収益の回復を目指す。
大幅増収増益 東洋紡せんい
東洋紡せんいの単体業績は売上高157億3600万円(前年同期比23・1%増)、営業利益2億1600万円(380・0%増)、経常利益9億6500万円(272・6%増)だった。国内外市況の回復や関係会社からの配当増加で収益改善が進んだ。
スポーツ事業は差別化生地が堅調で増収増益だったが、円安による海外調達コストの増加から黒字浮上には至らなかった。マテリアル事業は糸売りが堅調。非衣料分野の開拓も進み増収増益となった。ユニフォーム事業はワークウエア向け短繊維織物の販売が減少したものの合繊織物やニット生地が堅調。別注案件も増加し増収増益だった。
スクール事業は増収ながら減益。シャツ・体育衣料向けはニット生地を中心に堅調だが、学生服地用短繊維織物は在庫量の影響を受けた。輸出織物事業は円安の追い風もあり中東民族衣装用織物がリードして大幅な増収増益だった。
通期は売上高330億円、営業利益10億円、経常利益17億円を見込む。
(おわり)