新時代に向かう 商社繊維事業 4~9月期決算から(3)
2024年11月27日 (水曜日)
海外向け販売、業績けん引
衣料繊維、産資とも好調 帝人フロンティア
帝人フロンティアの業績(帝人の繊維・製品セグメントの連結数値。IFRS)は、売上収益1738億円(前年同期比9・5%増)、事業利益101億円(34・3%増)で増収大幅増益を達成した。衣料繊維分野、産業資材分野ともに販売が好調に推移した。
衣料繊維分野は、北米や中国向けのテキスタイルと衣料品の販売が好調だったほか、国内も夏物衣料などの販売が順調な動きを見せた。産業資材分野は、水処理フィルター向けのポリエステル短繊維、人工皮革、テレビ通販での生活雑貨の販売が良好だった。
両分野ともに足元の需要は堅調だが、下半期にかけては昨年の暖冬による流通在庫調整、地政学リスクに端を発する原料・燃料コスト高、物流混乱などが懸念される。このため価格転嫁、製造・販売にかかる固定費の縮減、サプライチェーン強化などに努める。
アパレルなどで増収確保 東レインターナショナル
東レインターナショナルの単体業績は、売上高3076億円(前年同期比8・2%増)、営業利益63億4900万円(0・6%増)、経常利益129億円(1・1%増)、純利益114億円(9・6%増)だった。繊維事業のアパレルなどが増収を確保した。
事業別の売上高では、繊維資材・物資とアパレルが伸長。繊維資材・物資は産業資材で自動車用途やフィルター用途が堅調で、3・9%増の211億円だった。アパレルは8・9%増の767億円。大手SPA向けの受注が増えたほか、スポーツ・アウトドアとカジュアルの出荷が堅調に推移した。
衣料素材の売上高は389億円で2・0%減。衣料用ファイバーは堅調だったが、生地が苦戦した。
通期の業績は、売上高6323億円(8・8%増)、営業利益129億円(4・5%増)、経常利益221億円(16・4%減)、純利益173億円(19・6%減)。
中国でキュプラ繊維復活 旭化成アドバンス
旭化成アドバンスの単体業績は、売上高335億円(前年同期比10・1%増)、営業利益7億9千万円(7・2%減)で増収ながら減益だった。海外を含む繊維事業と樹脂化学品事業が堅調に推移したが、建材事業は減収減益となった。
繊維事業は、特に中国・上海と米国が好調に推移した。中でも上海はキュプラ繊維「ベンベルグ」が裏地向けとファッション衣料向けで復活した。国内はファッション衣料分野が健闘した。樹脂化学品は数量減ながら価格転嫁や同社独自ビジネスの進展が寄与した。
24年度は、中期3カ年計画の最終年度となる。サステイナブル(環境・省人化)、メディカル・ヘルスケア(健康・安全)、車両関連などの重点領域の強化を重視した施策を進めるなど、次期中計につなげる基盤を構築する。