綿紡績大手・繊維事業 下半期で巻き返せるか

2024年11月25日 (月曜日)

 上半期(4~9月)に利益改善が進んだ綿紡績大手の繊維事業は、巻き返しながら通期(2025年3月期)で安定した利益の確保、黒字浮上が課題となる。

3カ年の中期経営計画が最終年度となるクラボウ、シキボウは、次期中計でさらなる成長につなげるためにも、注力分野であるユニフォーム地での販売攻勢、好調分野への設備投資などによって現中計で目標とする数値に少しでも近付ける。

 クラボウの上半期は2期ぶりに営業損益が黒字に転換し「基本的には計画通りで進んでいる」。通期計画の営業利益は期初に1億円としていたが、3億円(前期は2億5700万円の営業損失)と上方修正した。在庫調整が続いていたユニフォームが回復傾向にあることに加え、4月受注分からの値上げの効果を見込む。

 また、クラボウインターナショナルが来春夏物の供給を活発化させているとともに、第1四半期まで不調だったブラジルも好調に転じた。下半期に収益の改善が進むとの見方を示す。

 シキボウは、上半期に黒字化までもう一歩のところまで来た。中東民族衣装向け生地輸出が好調なほか、在庫調整が一服しつつあるユニフォームで想定以上に改善。通期の利益計画を期初の1億円から1億5千万円(前期は2億7700万円の赤字)に引き上げた。

 中東向け輸出の拡大を受け、織布・染色加工の子会社シキボウ江南(愛知県江南市)では設備を更新し、生産キャパシティーを前年に比べ1・5倍に増強。今年度内では「最低でも2倍」まで生産できる体制を構築する。

 日東紡は第2四半期以降、酷暑の影響によってアパレルメーカーが生産や新商品開発に「慎重になっている」と指摘。下半期は接着芯地で現物の追加と夏物の受注が重なる時期ではあるが、「ピークの時にこれだけ暖かいと冬物の追加生産は厳しい」ことから、業績見通しを「若干の下方修正」とした。

 富士紡ホールディングス(HD)も、為替が厳しい状況で減益を想定。インナーの「BVD」など店頭販売では、高収益の定番商品に集中していくほか、高級国産インナー「アングル」では中国の富裕層向けなど輸出を伸ばす。

 第3四半期(1~9月)まで営業赤字だった日清紡HDは、通期(24年12月期)計画で下方修正し、売上高390億円(修正前400億円)、営業利益3億円(同9億円)とするが、2期ぶりの黒字浮上を計画する。シャツやユニフォームでの新商品開発に合わせ、インドネシアで渦流紡績機、液流加工機を増設しており、生産を増強。インドネシアでのローカルを含めた海外向け売上高は3割を超え、中東向け生地輸出の拡大にも取り組む。