東レ 植物由来と「ナノデザイン」融合
2024年11月21日 (木曜日)
東レはこのほど、絹調ポリエステル織物「シルック」発売60周年を記念した新素材「シルック美來」(シルックミライ)を開発した。原料の一部に植物由来ポリエステル繊維を使用し、独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を融合することで絹の光沢や高級感を一段と再現したほか、快適機能性も両立した。
25春夏から和装と洋装の婦人・紳士の両用途に提案し、2025年度10万㍍、27年度には50万㍍の販売を目指す。
シルックは1964年に東レが絹の光沢や高級感、“絹鳴り”といった伝統的な絹織物独特の音色まで再現するポリエステル織物として開発、革新的なテキスタイルとして高い評価を得てきた。
60周年を迎えた現在、資源枯渇や地球温暖化など新たな課題に直面している。同社はバイオエコノミーが目指す未来に向けてシルックの技術をベースにポリエステル原料の一部を植物由来に置き換え、さらにナノデザイン技術を融合することで従来のシルックを超える高級感と快適機能性を実現したシルック美來を開発した。
シルック美來は、植物由来原料を約30%使用し、ナノデザインによって繊維断面を精密に制御することで表面凹凸の異なる異形断面繊維が混在する糸束構造を実現した。これによりシルックが追求していたシルクタッチや自然な光沢といった高級感が一段と高まった。
また、テキスタイル表面に形成された凹凸斑によって従来のシルックでは達成が困難だった着用時の着崩れ防止や耐洗濯性、イージーケア性も実現した。エレガントな質感に加え、繊維断面を精密に制御することで生まれる快適機能性が加わる。
こうした特徴を持つシルック美來は、シルック60年の技術革新の集大成と位置付け、和装だけでなく婦人・紳士のアウター・ボトムスなど先端ファッションまで幅広い用途に向けて提案する。