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大手3社のスクールスポーツ/来入学商戦向け販売順調/ニーズ捉えた商品開発進む

2024年11月20日 (水曜日)

 大手学生服メーカー3社はスクールスポーツ事業において、来入学商戦に向けて販売、生産ともに順調に推移する。ユーザーの嗜好(しこう)が変化する中、各社はニーズに対応するため商品に磨きをかけながら、採用校の獲得につなげている。(秋山 真一郎)

 菅公学生服、トンボ、明石スクールユニフォームカンパニーの大手3社は、採用校からの受注を順調に獲得する。性的少数者(LGBTQ)への配慮から、ブレザー制服へとモデルチェンジする動きがここ数年活発になっている。制服の安定納品が求められる中、スクールスポーツ事業においても、各社は新規注文の締め切りを例年よりも早めに設定するなど早期対応に動いたことで、安定生産につなげている。

 商品面では、各社はユーザーのニーズを捉えた開発によって支持を得る。スクールスポーツ市場でトップシェアを持つ菅公学生服は自社ブランド「カンコー」を中心に訴求。中でも、防風・保温や軽量、コンパクト性などの機能を併せ持つ「カンコープレミアム」が販売数を伸ばしており、来春実績を含めて累計採用校数が600校を超えた。

 今年発表した、スポーツバッグやゴルフバッグなどのOEMを手掛けるEQ japan(千葉県松戸市)が展開するスポーツブランド「ブルイク」との協業商品も来春に4校が採用するほか、翌々年に向けても数校の採用が決まっている。「美しいシルエットやニュアンスカラーなど、今までの体育着とは違う」(勝山裕太営業本部企画推進部スポーツ企画推進課長)点が評価されていると言う。

 トンボは「ビクトリー」「ヨネックス」「アンダーアーマー」の主力3ブランドを伸ばす。同社が強みとするのは、自社で昇華転写プリント機能を持つところだ。多様な柄の付与によって差別化ができるという点から、学校からの引き合いは多い。高橋聡一スポーツ商品本部スポーツ商品部副部長は「新規採用校の7~8割は昇華転写を採用している」と説明する。

 同社では、美咲工場(岡山県美咲町)にあった昇華転写設備をこのほど、紅陽台物流センター(同玉野市)に隣接する工場に移設。プリンターと転写機を増設するなど生産能力の増強も図っている。

 新ブランドがけん引するのは明石スクールユニフォームカンパニー。来入学商戦を皮切りに販売をスタートさせている体育着ブランド「FEEL/D.」(フィール/ディー)は、50校ほどの採用が決まるなど滑り出し好調だ。体の部位によって素材を変えるなどさまざまなパーツから成るほか、立体裁断も取り入れる。榊原隆取締役営業企画部門管掌兼スクール営業部統括部長は「シンプルなデザインでありながら機能性が高い。ここが一番評価された」と話す。今後は「企画に携わるスタッフも充実させる」など、商品作りに磨きをかけながら、スクールスポーツ事業の新たな柱に育てる。