ズームイン/太陽繊維の社長に就いた太田 直道 氏/備蓄強みに新分野開拓
2024年11月18日 (月曜日)
ドレスシャツ地商社、太陽繊維(大阪市中央区)の社長に9月24日付で就いた。同社としては30年ぶりのトップ交代で、4代目の社長になる。「強みは多彩な生地を備蓄しているところ」とし「ドレスシャツ地の市況は厳しいが、小規模なオーダーシャツ事業などで小口でもニーズはあるし、新たな分野でも可能性はある」と気持ちを新たにしている。
今年で創業70周年を迎える。景気の良い時代は、百貨店のオーダーシャツ事業、大手アパレルや繊維商社のシャツ事業で生地の供給を担い成長した。1990年以降の生地生産地の海外移転やバブル崩壊後の不景気で、同業他社が次々と消えていった。同社も経営危機に陥ったことはあるが、多くの人の支えで時代の荒波を乗り越えてきた。
今も主力はドレスシャツ地だが、時代の変化に合わせて5年前から薄手のニット地も扱っている。兵庫・播州織産地や静岡・遠州産地といった先染め綿織物産地の生地以外にも中国、ベトナム、イタリア製の織物も取り扱う。今年は新たにインドの協力工場でのテスト生産もスタートした。
実は2019年までは国内生産の生地が数量ベースで全体の4割ほどを占めていた。しかし、20年以降の新型コロナウイルス禍の影響で市況が悪化し、国内調達は現在、全体の2~3割ほどになっている。「国産生地の需要は今もあるが、産地の生産インフラが弱っており、調達が容易でなくなっている。いかにサプライチェーンを維持するかは業界全体で考えるべき課題」と指摘する。
新たに成長が見込める分野としてカジュアルシャツ地、事務職などの企業用ユニフォーム、足袋やけさといった分野を挙げる。「ドレスシャツ地を得意とする、当社だから新たな分野に新鮮な提案ができる」とし「他社ができないような細かい分野にも、多彩で豊富な備蓄力を生かし顧客のニーズに丁寧に向き合って堅実なビジネスを展開したい」と話す。 (学)
おおた・なおみち 2007年新興産業(現・東洋紡せんい)入社、海外縫製子会社でシャツ、肌着などのOEM事業に関わる。12年、家業の太陽繊維に入社。取締役企画部長を経て、24年9月から現職。大学時代には、旅行研究会に所属、今も趣味は旅行。41歳。兵庫県西宮市出身。