繊維ニュース

石川、福井繊維協/ヤーンフェア開幕/出展企業は過去最多に

2024年11月14日 (木曜日)

 糸の総合展示会「北陸ヤーンフェア2024」が13日、石川県産業展示館4号館で開幕した。石川県繊維協会と福井県繊維協会の共催となって7回目で、年々規模を拡大している。(星野 公清)

 出展社数は78社で昨年から14社増え、小間数は111小間で23・5小間増え、ともに過去最多となった。福井開催の昨年は2日間で3239人、金沢開催の一昨年は2550人の来場者を集めており、今回はその更新が期待される。

 石川県繊維協会の遠藤幸四郎会長は開幕に当たって「出展者と来場者がこの会場で出会い、新たなモノ作りの取り組みにつなげることで北陸産地から繊維産業の未来を創造するとの決意を示す」と話すとともに、元日の能登半島地震で被災した企業の早期の復興につなげたいという考えを示した。

 出展は合繊メーカーや紡績、商社、糸メーカー、大学、試験センター、繊維加工剤メーカーなど糸の周辺を含めて幅広い業種がそろう。今回の展示会テーマは「サステナブルな繊維の未来~新たな絆へ~」で、会場では合繊メーカーや糸メーカーがサステをベースに機能性や感性などを加えた糸を幅広く提案している。

 サステは初回から継続してテーマに掲げられている。これまでリサイクルポリエステルの提案が差別化糸を含めて進んだ中、今回展ではリサイクルナイロンなどを含めて提案が広がっている。

 新素材では化学メーカーの特殊樹脂を繊維化した提案も見られ、三菱ガス化学の特殊樹脂「エモクシー」のほか、稲畑産業と村昭繊維興業の共同ブースでは住友化学の温調樹脂「コンフォーマ」の糸が披露されている。従来の温調素材はパラフィン含有マイクロカプセルを使う形が主流だが、コンフォーマは樹脂自体が温調機能を持つ。

 前回までに続いて繊維機械関連の出展が増えている。今回展では伊藤忠マシンテクノスがネウラロボティクス社(ドイツ)製の自動協業ロボットをブースで実演しているなど自動化・省人化の提案が進んでいる。オートドッファーなどの機能を含め、人材不足への対応や作業者の負担軽減は注目されるテーマの一つになっている。

 今回は海外からの出展を初めて受け入れ、台湾の展頌、昶明国際、東隆興業が出展している。台湾から出展した3社は日本市場と長く取引があるが、出展を通じてさらなるビジネス拡大を狙う。

 展頌は台湾で生産するナイロン6・66糸を紹介している。現在は日本や東南アジア市場での拡大に取り組んでおり、今回の出展を決めた。現在の日本市場への販売は衣料用が中心だが、資材用途にも広げたいと言う。

 東隆興業は仮撚り加工を中心に糸加工で付加価値を高めた糸を紹介している。ソフトタッチの「VNS」、スパンデックスを使わない伸縮糸「SCT」などを提案している。

 北陸ヤーンフェアは、金沢市と福井市で開催地を入れ替えながら毎年秋に開催されている。来年は福井での開催で、さらなる内容の充実を図る考え。