新たな舞台へ JFW―JC、 PTJレビュー(1)

2024年11月14日 (木曜日)

商工連携の必要性が高まる

 このほど東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開かれた、繊維総合見本市「JFW―ジャパン・クリエーション(JC)2025」と生地商談会「プレミアム・テキスタイル・ジャパン(PTJ)2025秋冬」は、次回来年5月展から場所と名称と会期を変更して開催される。場所は東京都立産業貿易センター浜松町館(東京都港区)、名称は「東京テキスタイルスコープ」(TTS)、会期はこれまでの2日から3日に拡大される。最後のJFW―JCとPTJを振り返る。

 今回の両展で目立ったのは、備蓄による小口・短納期供給のアピール、原料や糸からの差別化提案、気候変動に対応した打ち出し、サステイナブル素材、異分野からの参入――などだった。

 パネルでの訴求など備蓄機能のアピールを盛んに行っていた大多数はサンウェル(大阪市中央区)や宇仁繊維(同)、柴屋(同)、松原(同)、ササキセルム(愛知県一宮市)、カゲヤマ(兵庫県西脇市)といった備蓄型の生地商社や産元商社だが、産地メーカーなど一部でも、糸のみ備蓄、生機のみ備蓄を始めた企業や、色付け生地まで備蓄する企業が増えていることが見て取れた。小口・短納期を求めるアパレルバイヤーが増えていることの証左と言える。「備蓄していないとアパレルと商談できない」とは今回のPTJ出展者からよく聞かれた言葉だ。

 とはいえ、備蓄を行うには資金力とノウハウが必要。その点で産地の零細規模の企業にはハードルが高い。今回の両展でも備蓄の有無を問うと、「したいのはやまやまだが運転資金が……」と本音をもらす産地織布工場もいた。

 その解決策の一つが商工連携だろう。自販機能を持つ産地企業は、政府の自立化支援事業や時代の要望によって着実に増え、ブランディングも百花繚乱の様相だが、備蓄機能までを持つのは現状ごく一部にとどまる。工と商がタッグを組むことでこの問題は一歩前進する。スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)などJFW―JCにもPTJにも出展していない生地商社のスタッフが大挙して両展に足を運ぶのは、商工連携の必要性が以前にも増して高まっているからだと言える。

 今回の両展には「中国、韓国、欧米のバイヤーが来てくれた」(複数の出展者)など海外ブランドの来場も一定あった。海外ブランドもリードタイムを非常に重要視している。商機を逃さないために、対等で深く取り組んだ商工連携が求められている。