東レ/タイの石油化学会社と覚書/バイオアジピン酸の量産技術で

2024年11月13日 (水曜日)

 東レは、タイを拠点とする大手石油化学会社のPTTグローバル・ケミカル(GC)と非可食バイオマスを原料としたアジピン酸(バイオアジピン酸)の量産技術検討に関する覚書を締結した。このほど、東レの木村将弘常任理事東レタイ代表と、GCエグゼクティブ・バイス・プレジデントのカメル・ラムダニ氏が出席し、調印式が行われた。タイと日本で量産技術検討と商業化に向けた実現可能性調査を進め、事業性があると判断すれば2030年までに数千トン規模のムコン酸とバイオアジピン酸の商業化を目指す。

 両社は、23年から東レが84%の株式を所有するセルローシック・バイオマス・テクノロジー(CBT)で製造される非可食バイオマス由来の糖を原料にナイロン66の原料となるムコン酸とバイオアジピン酸を製造する技術を共同で開発。世界で初めてパイロットスケールでの製造に成功した。

 GCは独自の発酵技術により、非可食糖を短時間でムコン酸に高収率で変換。東レは、水素化処理プロセスによってムコン酸から高純度のバイオアジピン酸を高収率で製造することができる。得られたバイオアジピン酸は、繊維や樹脂などに利用することが可能。この製造プロセスでは温室効果ガスの一酸化二窒素が発生しない。

 将来的には、タイでの農業残渣(ざんさ)を利用して数万トン規模でバイオアジピン酸を製造するサプライチェーンを構築するとともに、環境配慮型のナイロン66製造につなげる。今回の調査は「経済産業省・令和5年度補正『グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査)』」に採択されている。