合繊メーカー 4~9月 期繊維事業の改善進む
2024年11月13日 (水曜日)
合繊メーカーの2024年4~9月期決算は、市況の改善を反映して全社ベースで増収増益が相次いだ。繊維関連事業も増益や営業黒字回復が進むなど収益性の改善が見られる。
特に円安の追い風もあって海外販売が拡大したほか、自動車関連需要が回復傾向となったことも業績への好材料となった。
IFRSを導入している東レは繊維事業が増収・大幅増益。衣料繊維は総じて堅調に推移し、産業用繊維も自動車関連用途の需要が回復傾向となった。炭素繊維複合材事業も大幅な増収増益。航空宇宙用途の需要回復が順調なほか、低迷していた風力発電翼用途も緩やかに回復に向かった。
今期からIFRSを導入した帝人はマテリアル事業が黒字浮上した。アラミドと炭素繊維は競争激化による販売価格低下で減益だったが、複合成形材料は構造改革の成果で増益だった。繊維・製品事業も大幅な増収増益。衣料繊維は北米や中国への生地・製品販売が拡大し、国内も夏物衣料が堅調だった。産業用繊維は水処理フィルター向けポリエステル短繊維や人工皮革などが好調だった。
東洋紡は環境・機能材事業が大幅増益となった。樹脂・ケミカルは自動車向け販売が拡大。環境・ファイバーもVOC回収装置の販売が増加し、高機能ファイバーは海外需要が堅調だった。機能繊維・商事事業も営業黒字に浮上した。中東向け織物輸出の好調に加え、構造改革の成果が発現している。アクリル繊維も黒字化し、エアバッグも回復基調にある。
1~6月期決算の上半期のクラレも繊維事業は増収増益と堅調。人工皮革「クラリーノ」の需要が回復し、繊維資材も自動用途が回復しつつある。不織布は乾式からの撤退とメルトブローの生産能力縮小を決めるなど構造改革を断行した。トレーディング事業は増収・大幅増益。スポーツ衣料が収益をリードしている。
一方、厳しい状況が続いているのがユニチカ。機能資材事業は電子材料分野を中心に需要が回復し、活性炭繊維やガラス繊維、不織布、産業用繊維それぞれ収益が改善したことで黒字浮上したが、繊維事業は赤字が拡大した。衣料用途はユニフォームが堅調も婦人服、スポーツ衣料、寝装いずれも勢いがない。このため、さらなる構造改革の断行が待ったなしの状況となっている。