ごえんぼう
2024年11月13日 (水曜日)
5日に投開票された米大統領選の報道では、「分断」という言葉をよく見聞きした▼国民の分裂をあおり、敵と味方に分ける構図を作り上げることで支持を集める。その手法を得意とし、「移民がペットを食べている」などと選挙戦でも発言してきたトランプ氏は勝利後、「過去4年間の分断を忘れて団結するときだ」と表明した。分断が和らぐことを期待したいが、一朝一夕にはいかないだろう▼スペインの哲学者のオルテガは、異なる他者への寛容を説いた。自分と同じような考え方の人間だけによる統治ではなく、自分とは違うものを同一の共同体の構成員として受け入れて社会を構築する必要性を挙げる▼19の州が離脱して内戦状態になる米国の分裂を描いた映画「シビル・ウォー アメリカ最後の日」。フィクションだが、荒唐無稽とは評されず話題になった。オルテガが示した「共存への意志」が求められているように思う。