ユニチカ/減損損失で赤字拡大/構造改革急ぐ

2024年11月12日 (火曜日)

 ユニチカの4~9月連結決算は、売上高615億円で前年比6・1%増、純損失98億円(前期は4億円の損失)と増収ながらも純損失が拡大した。食品包装用途など幅広い分野で販売数量を伸ばし、各製品で価格改定も進んだことから営業損益は黒字化したが、インドネシアのエンブレムアジアで減損損失107億円を計上したことが響いた。

 機能資材事業は売上高184億円で前年比11・5%増、営業利益2億円(前年は14億円の赤字)と黒字化した。不織布はスパンボンドが土木用、生活資材などが堅調で、綿スパンレースも猛暑で汗拭きシートなどのスキンケア用途が拡大した。産業繊維はポリエステル高強力糸が低調だったが、ポリエステル短繊維がフィルター用を中心に伸びた。

 繊維は売上高150億円で前年比3・3%減、営業損失6億円(前年は4億円の損失)と営業損失を拡大した。衣料繊維の主力のユニフォーム用は、官需が堅調だったが、民需が低調だった。一般衣料、寝装、スポーツ衣料は苦戦した。

 通期では売上高1200億円(前年比1・4%増)、営業利益30億円(前年は25億円の損失)、経常利益14億円(同10億円の損失)、純損失103億円(54億円の損失)を予想する。エンブレムアジアでの減損損失を受けて純損益を下方修正した。

 11月1日付で社長直轄組織として構造改革推進室を新設しており、今後事業構造の見直しを加速する。現在は各事業について検討を進めている段階で、3月末までに一定の結論を出す考え。上埜修司社長は「不採算事業に手を打つ」とし、衣料繊維事業を対象の一つに挙げた。

〈UTCは減収減益〉

 衣料繊維事業の中核となるユニチカトレーディング(UTC)の4~9月は、売上高131億円(前年比3・0%減)、営業損失3億円(前年は2億円の損失)、経常損失4億円(同2億円の損失)、純損失3億円(同1億円の損失)と減収で赤字を拡大した。物流費や加工賃などコストが上昇する中、価格転嫁が追い付かなかった。

 ユニフォーム用途は官需が堅調で、別注も東京を中心に好調だったが、民需が低調。婦人、寝装、スポーツなどの用途は低迷した。グローバルでは、デニムの輸出が順調に拡大した。

 下半期は価格改定や他社とのアライアンスの拡充、グローバル展開の拡大などに注力して回復を狙う。

 繊維関連の製造子会社では下半期での回復を見込む。ユニテックス(インドネシア)は上半期が苦戦したが、カポック繊維の芯鞘構造糸「パルパー×カポック」をけん引役に、通期で黒字を見込む。

 22年に構造改革を実施した大阪染工(大阪府島本町)は官需用が好調に推移した。民需用が柱の連続染色は苦戦したが、足元では回復に向かっているという。

 ユニチカスピニング(長崎県松浦市)はビニロン綿混糸が好調だったが、約50%を占めるUTC向け以外が低調だった。下半期は回復を見込み、通期では黒字を確保する見通し。

 日本エステルのポリエステル長繊維は上半期、婦人やスポーツ用途の低調で計画を下回った。

〈キャンギャル終了へ〉

 ユニチカは、年内でキャンペーンガールの起用を終了する予定。1974年に「ユニチカマスコットガール」を誕生させて50年になるが、一定の役割を果たしたと判断した。