技術の眼/アシックス/レックとUTC/nishikawa/河淳/シセイ/セーレン

2024年11月08日 (金曜日)

 「技術の眼~NEW WAVE GENERATING TECHNOLOGY~」では将来的にニューウェーブを巻き起こし得る重要な技術にスポットを当て、紹介する。

〈アシックス/カカオ豆の皮で染めた生地採用〉

 アシックスとロッテは、チョコレートの製造過程で発生するカカオハスク(カカオ豆の皮)の色で染めた生地を採用したシューズを商品化した。親子で履ける「ゲル-1130」「同PS」で、オンラインストア、直営店を通じて販売する。

 この生地の生産を豊島が担当。豊島は廃棄予定食材を染料として再活用するプロジェクトブランド「フードテキスタイル」を展開しており、従来は捨てられていた野菜の切れ端、コーヒーの出がらしなどを食品関連企業や農園から買い取り、抽出した食材に含まれる成分を染料として生地や糸を染め、新しいアイテムに生まれ変わらせている。

 今回のモデルはアシックスとロッテが“食べる幸せ、履く幸せ”をコンセプトに企画。フードテキスタイルがチョコレートの製造過程で発生した廃棄部分となるカカオハスクを染料化し染め上げた生地がアッパー素材の一部(49%)に採用された。

〈レックとUTC/ぬれてもすぐ〝さらさら〟〉

 家庭用品大手のレックはこのほど、ユニチカトレーディング(UTC)と連携し、極薄素材を使ったバスマット「笑激SHOCK超薄さらさらバスマット」を開発した。9月30日から販売を開始している。

 バスマットは高い吸水性が求められるが、レックの調べによると“さらさら感”や速乾性など衛生面でのニーズも高いことが分かった。これを受けて両社が協力し、表面がぬれてもすぐに“さらさら”になるバスマットとして笑激SHOCKを開発した。

 生地にUTCの特殊技術である3層構造を採用することで、厚さ約2ミリと極薄ながら、高い吸水性を実現した。洗濯機で丸洗いできるため衛生的。重量も従来品の約80%と軽量化されており、バーに掛けてすぐに干せるほか、かさばらないので収納にも困らない。グレーとベージュの2色を用意する。

〈nishikawa/無呼吸リスク測定も実現〉

 nishikawaは、睡眠アプリ「グーモ」と高精度なセンシングマットレス「『エアーコネクテッド』SXマットレス」を開発した。

 グーモは無料ダウンロードで気軽に使え、睡眠時間や中途覚醒などの睡眠スコアと、それに基づくアドバイスを提供する。そうした睡眠アプリは既にあるが、睡眠中の心拍・呼吸・体動を検知するエアーコネクテッドと連携することで、無呼吸リスクの測定、自律神経バランスの可視化も実現。呼吸による無呼吸リスクの判定、心拍による自律神経の可視化は業界初の機能実装と言う。

 マットレス内蔵のセンサーは、「圧電組紐」という極薄のひも状で、最上級モデルであるエアーSXの寝心地を損なうことなく、アプリでは測れない睡眠深度まで測定。高精度な睡眠解析につなげる。

 グーモでは、設定起床時刻より少し前の眠りの浅い段階で目覚めを促すスマートアラーム機能、家電連携、GPS機能を用いた行動アシスト、いびきなどの音声記録、離れて住む家族の睡眠と連携した見守り機能、メジャーリーガーの大谷翔平選手などタレントボイス機能も装備する。

〈河淳/日本初カーテンtoカーテン〉

 オリジナル生活用品販売店「ケユカ」を運営する河淳(東京都中央区)は、12月から「循環型カーテンサービス」を始める。不要カーテンを回収し、製品や生地として再利用したり、断熱材などにリサイクルしたりする取り組みはあるが、カーテンからカーテンへのリサイクルは日本初という。

 カーテン製造のユニベール(金沢市)、繊維製品の回収循環型マテリアルリサイクルを推進するエコログ・リサイクリング・ジャパン(広島県福山市)と協力し、使用済みカーテンや製作時に出る残反から新しいカーテンを作る。環境活動を推進したい企業や、物件に採用する商品を通じて社会課題の解決を図りたいホテル運営会社、デベロッパーに新たな選択肢を提供する。

 大半のカーテンはポリエステル製。再生素材を使用したカーテンが市場に出始めているものの、カーテンに使えない切れ端や使用済みカーテンは、河淳の契約工場1カ所だけで年間約120トンも廃棄されているという。ホテル事業にも携わる同社は、特にホテルで買い替え時に廃棄される大量のカーテンに着目。これを反毛、ペレット化し再び糸にして新たなカーテンを作る。

〈シセイ/血行促進もサポート〉

 グンゼの連結子会社でアパレルのSEESAY(シセイ、東京都渋谷区)は医療機器メーカーと共同開発した特殊素材と着心地にもこだわった独自の設計により休養を快適にサポートするウエア「サイエンススリープ」の先行販売をこのほど、マクアケを通じ開始した。

 医療機器メーカーと遠赤外線放射セラミックス素材を共同開発。人体から放出される遠赤外線を効果的に吸収・放射するほか、独自のウェーブパターン設計で体全体をカバーするため、快適な着用感を実現しながら血行促進をサポートする。一般医療機器として届け出済み。

 肩のラインとアームホールの設計の工夫で背中、肩、腕を動かしやすくして寝返りに必要な動きの負担軽減と脇の可動域が広がることで腕が上げやすくなることを確認した。

 長袖長パンツスタイルで価格は1万9800円、カラーはネービー、グレージュ、サイズはS、M、L、素材はポリエステル90%/ポリウレタン10%。

〈セーレン/生理痛和らげるショーツ〉

 セーレンは、スポーツウエアを製造・販売するオンヨネ(新潟県長岡市)と共同で、生理痛を緩和する「onaka想い」サニタリーショーツ(一般医療機器)を開発した。体熱を放射して血行を促進し、痛みを緩和する。着るだけで生理痛を緩和する家庭用遠赤外線血行促進用衣は業界初と言う。発売は2025年春を予定。

 使用する繊維には、ナノ化された複数の貴金属を高温高圧で担持された微粒子「アースメディカル」パウダーが練り込まれている。体から発せられた遠赤外線を放射して血行を促進し、疲労回復や筋肉痛、生理痛の緩和につなげる。

 セーレンの360度全方向ストレッチの「フレックスムーブ」を使用し、優しい着用感を付与しているほか、フリーカットによるフロントクロス構造で動きやすさとずれにくさを実現した。アウターに響きにくく、クロッチ(股布)には綿混素材を使用しているため、普段ばきでも使える。