特集 北陸ヤーンフェア2024(11)/出展者の見どころ/伊藤忠マシンテクノス/ワインダーワークス/村田機械/TMT神津

2024年11月07日 (木曜日)

〈繊維工場の自動化支援/ネウラの協働ロボット実演/伊藤忠マシンテクノス〉

 伊藤忠マシンテクノスは工場の省人化・自動化につながるロボット・システムや、サステイナビリティーを実現する環境配慮型設備を幅広く紹介する。

 今回展最大の5小間を使ったブースでは、ネウラロボティクス(ドイツ)の自動協働ロボットを実演展示する。大手自動車メーカーなどで導入が進んでいるが、今回の出展を機に繊維業界への提案を本格化する。

 自立型走行ロボット(AMR)「MAV」とロボットアーム「MAiRA」を組み合わせることでさまざまな工程を自動化する。例えばクリールへの糸管入れ替えの無人化などを提案する。7軸のアームは可動域が広く、AIで対象物の状況を判断しながら柔軟に作業する。コンパクトな設計なので、日本の工場にも導入しやすい。

 工場全体の自動化では、広州盛原成自動化技術(セヨンス)のシステムを提案する。繊維・アパレル業界に特化した自動化システムメーカーで、原料入庫時のデパレタイジングから設備への原料投入、製造品の搬出、包装・出荷まで各工程の自動化に対応する。特に人手が足りない工程だけを自動化することもでき、それぞれの工場に応じた提案を行う。

 環境配慮型設備では、メイコー商事の油煙除去装置や、アルケミーテクノロジー(イギリス)の噴霧型連続染色機などを紹介する。アルケミーの噴霧型連続染色機「エンデバー」は、新しい無水染色機として注目を高めている機械で、染料液を微細な滴にしてノズルで噴霧し、ジェット流を利用して生地の裏側まで染める。洗いなど前後工程以外では水を使わず、従来の無地染めに比べて水使用量を95%、エネルギー使用量を85%削減する。

〈SSM製品を広く紹介/省人化や高生産性を訴求/ワインダーワークス〉

 SSM社(スイス)の日本代理店を務めるワインダーワークス(大阪市中央区)は、今回が2回目の出展となる。今回展では、生産性向上や省人化につながるワインダーや、高付加価値化につながる糸加工機などを紹介する。

 自動ワインダーは化合繊長繊維用と紡績糸用の両方をそろえる。幅広い品ぞろえでさまざまなニーズに対応しており、上位機種から買いやすい価格帯の商品までそろえている。

 今回展では、最新機種による加工速度の高さやオートドッファー機能などを訴求し、工場の省人化やコスト削減につながる提案を行う。巻き取り品質の高さや、扱いやすさ、メンテナンスのしやすさなどの特徴も訴求する。糸加工機については、合糸機などを紹介する予定。

 同社は昨年5月からSSMの代理店となり、現在は北陸や尾州、今治、三備など全国の産地への提案を強めている。今後さらに提案を強化するために、ショールームを新設することも検討している。

 日本での機械の据え付けなどの技術サポートは、SSMの極東・東南アジアチームが対応しており、定期的に担当者が来日して各産地を訪問している。

〈新型ワインダー紹介/原着糸使いの生地も展示/村田機械〉

 村田機械は今回展で、自動ワインダーの最新機種である「プロセス コーナー AIcone(アイコン)」や渦流精紡機「ボルテックス」の糸を使った各種生地サンプルなどを紹介する。

 アイコンは昨年開催された、繊維機械の国際展示会「ITMA2023(ミラノ)」で発表した最新鋭の自動ワインダー。生産性、操作性、省エネ性を徹底的に追求し開発した。

 高い生産性や省エネ性、メンテナンスがしやすいなどの特徴があり、省人化の面でも提案が可能な巻き返し機の紹介にも注力する。

 ボルテックス糸は「毛羽が少ない」「毛玉を抑える」「洗濯に強い」「プリントがキレイ」「水を吸いやすい」などさまざまな特徴を持つ。

 洗濯時の繊維脱落も少なくなるため、排水で流れる繊維くずを抑えることができ、長く着用できる製品にすることができる。

 一般的な精紡機に比べると、小ロット生産もしやすく、のり付け量を減らした製織も可能などの特徴もある。近年はSDGs(持続可能な開発目標)の観点でも注目されているという。

 ボルテックスでは、長繊維を芯に短繊維でカバーしたフィラメントコアヤーンの生産も可能で、今回展の会場では原着フィラメント糸を使った「コアカラー」の生地も展示する予定だ。

〈多様なサイズに対応/高い汎用性に評価/TMT神津〉

 TMT神津は、化合繊用リワインダー「ワインディングマスター」を展示する。1錘単位で導入できる汎用性の高いリワインダーで、ブースではコーン巻きを実演する予定。

 FDY、DTY、ATY、撚糸、カバーリング糸、モノフィラメントなど幅広い糸種に対応し、染色用ソフト巻きからラウンドショルダー巻き、高密度巻き、コーン巻きなど多様な巻き取りが可能な対応力が好評で、染工場や製織企業、糸加工場などでの導入が進んでいる。近年は協力工場の廃業を背景に内製化のために導入するケースも多いほか、導入した機械の性能を実感してリピートで購入するケースも増えている。

 今回展では6インチ3度30分のコーンボビン仕様を展示する。既存設備との仕様変更なく導入したいなどの要望に応えて開発した。

 販売を開始して約5年たつが、前機種のSSPシリーズからの更新を含めて導入が進んでいる。今期(2025年3月期)は100錘前後を販売する見通しで、今後は海外への提案も本格化する。

 毎分1千㍍超の巻き取りが可能で、前機種からの入れ替えでは生産性が2倍以上に高まる事例もある。更新で錘数を減らして同じ生産量を確保するなど、生産性の高さを省スペース化や作業者の負担軽減につなげる動きも見られる。