特集 北陸ヤーンフェア2024(1)/過去最大の展示規模に/糸の総合展として内容充実
2024年11月07日 (木曜日)
糸の総合展示会「北陸ヤーンフェア2024」が11月13~14日、石川県産業展示館4号館(金沢市)で開かれる。石川県繊維協会と福井県繊維協会の共催となって7回目で、今回は「サステナブルな繊維の未来~新たな絆へ~」をテーマにした。
北陸ヤーンフェアは、石川県繊維協会と福井県繊維協会の共催で、金沢市と福井市で開催地を入れ替えながら毎年秋に開催されている。福井で開催された昨年は2日間で3239人、金沢開催の一昨年は2550人の来場者を集めた。会場にはサステイナブル糸や機能糸を中心に最新の商品がそろい、来場者にとって新しい開発のヒントを得る場として定着している。近年は尾州や三備、桐生、和歌山、今治など北陸以外の産地からの来場者も増えており、出展企業と産地企業がコミュニケーションを図る場にもなっている。
今回展の出展企業は78社・団体(前年比14社増)で、福井開催だった昨年に続き過去最多を更新した。第1回目は40社からスタートしたが、新型コロナウイルス禍の影響を受けた3回目以外は年々規模を拡大している。展示面積も過去最大となり、111小間で前回から23・5小間増えた。
出展社は合繊メーカーや紡績、商社、糸メーカー、大学、試験センター、繊維加工剤メーカーなど糸の周辺を含めて幅広い業種がそろう。今回は海外からの出展を初めて受け入れ、台湾展頌、昶明国際、東隆興業の3社が出展する。主催の石川県繊維協会、福井県繊維協会と、台湾の繊維業界団体である中華民国紡織業拓展会(紡拓会)が交流を進めていることの一環で、北陸ヤーンフェアに先立って台湾で開催された「台北紡織展(TITAS)」にも日本からシモムラ、福井経編興業、前多が出展した。
日本からは一部で出展を取りやめた企業もあるが、それ以上に各分野からの出展が増えている。繊維機械関連は引き続き拡大し、単独では初出展となる伊藤忠マシンテクノスが今回展で最大規模の5小間で出展するほか、豊田自動織機、高山リード、技研、テムテック、アルスなどが初出展する。各社の出展内容を見ると、生産品の高付加価値化や生産性向上、省エネのほか、特に工場の自動化や省人化につながる提案に力が入る。
商社では瀧定名古屋、豊田通商、前多などが初出展し、村昭繊維興業や未来コーセンなど糸メーカーの出展も増えた。ヨネセンやにしき染色など糸染め工場の出展も増え、展示内容はさらに充実する。
今回の展示会テーマは「サステナブルな繊維の未来~新たな絆へ~」とした。サステは初回から一貫して掲げられているテーマで、今回展もサステをベースに新しい価値を加えた提案が進む。
特別講演はカジグループの梶政隆社長が講師を務め、「カジグループの挑戦『カジファクトリーパーク』」がテーマとなる。
足元の北陸産地の景況はまだら模様で、弱含んできた用途も見られるが、その中で新しい価値の創造や高付加価値化を志向する動きが加速している。北陸ヤーンフェアは産地企業の開発や高付加価値化の材料を見つける場としても定着している。