帝人フロンティアのユニフォーム素材 売れ筋に集約し攻勢へ
2024年11月07日 (木曜日)
帝人フロンティアの衣料素材本部テキスタイル第二部は、環境対応と機能を軸にユニフォーム市場の深耕を進める。ストレッチや暑熱対策、ウール代替、ニット化といったトレンドをうまく捉え、売れ筋の素材に集約しながら攻勢を掛ける。
上半期(4~9月)のユニフォーム地の販売は、ワーキング、学生服、オフィス・サービスそれぞれの分野で在庫調整を受け苦戦。産地の協力工場での人手不足や人件費の上昇に加え、原燃料の高騰や物流問題、円安によって、値上げが追い付かず前年同期比で減収減益だった。
下半期に入り、ワーキングでは在庫調整が解消されつつあるが、上半期の落ち込みを「巻き返すのは難しい」(同部の白石和男部長)との見通し。生産面も人手不足によってリードタイムや供給量で「小回りが利かなくなる」ことを懸念する。そのため、今期を来期の成長に向けた「整理」の期間と位置付け、引き続き値上げとともに、採算が合わない生地の集約を「覚悟して進める」。
一方で高い価格帯であっても市場へ価値を訴求できる、売れ筋素材の提案に注力。その中でも原糸、糸加工、織組織構造の工夫で優れたストレッチ性のポリエステル長繊維織物「フレキシング」が販売を伸ばす。ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」や、高捲縮(けんしゅく)糸使いなど生地のバリエーションを拡大。植物由来原料を一部使用した「プラントペット」と組み合わせた素材提案も進む。
ウール代替として梳毛調ポリエステル生地「トリクシオン」も、オフィスウエアを中心に市場へ浸透してきた。
夏の期間が長くなっていることを受け、特殊仮撚り糸と特殊織・編み構造を組み合わせ、防透性と高い紫外線遮蔽(しゃへい)率、遮熱性などの特徴を持つ「ウェーブロンUP」も、受注が「着実に増えつつある」。
暑熱対策ではほかにも高通気とストレッチ性を両立させた「エアーインプレッション」や、汗処理機能に優れた「トリプルドライカラット」、汗染みを目立たなくする「デュアルファイン」といった素材で拡販に臨む。
ユニフォーム用途では織物が多かったが、ウェーブロンUPをはじめとした素材ではニット化も推進。販売比率でニットは約5%と少ないが、今後は意識的に増やし「10%程度に高めたい」としている。