特集 JFW-JC、PTJ(2)/ファッション活性化へ魅力ある生地提案/東レ/サンウェル/宇仁繊維/サンコロナ小田

2024年11月01日 (金曜日)

〈東レ/4カテゴリーで総合力〉

 東レは、「環境配慮素材」「婦人・紳士服地」「スポーツ」「人工皮革『ウルトラスエード』」の4カテゴリーで差別化素材を多彩に提案し、“ザ・東レ”を印象付ける総合力を見せる。

 環境配慮素材として、再生ナイロン繊維と再生ポリステル繊維、部分バイオ原料ナイロン繊維を総合的に提案する。今回はデザイナーの中田優也氏ともコラボレーション。中田氏が東レの環境配慮素材をピックアップして制作したガーメントを披露する。

 婦人・紳士服地は独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」を重点プロモート。ナノデザインによって実現したポリエステル超極細微細捲縮(けんしゅく)生地「uts―FIT」、ウール調生地「キューティクル」、高光沢生地「キナリ」、和紙調生地「カミフ」、フッ素フリー撥水(はっすい)ストレッチ生地「デューエイト」を紹介する。

 スポーツ素材は、SNSなどで話題になった遮熱・遮光・UVカット機能ラミネート加工生地「サマーシールド」を改めて打ち出し、技術的蓄積と実績を紹介する。

 ウルトラスエードはプルミエール・ヴィジョンやミラノ・ウニカなど国際的な服地展示会で披露した最新コレクションを紹介し、実商談につなげることを目指す。

〈サンウェル/“対面重視”で商機つかむ〉

 サンウェル(大阪市中央区)はPTJに過去4回出展し、首都圏を中心に新規顧客を開拓してきた。奥行きのある備蓄機能や独自の企画開発力に加えて、今回展ではとくに「お客様との“対面重視”で商機をつかみたい」と意気込む。

 さまざまな生地カテゴリーを用意する同社だが、秋冬展ということもあり今回強く訴求するのが、ウール調合繊シリーズの「ラナテック」。その中でもふんわり柔らかい「ラナテックレイ」は、ピリングしにくく奇麗な綾立ちのツイル。軽くてまるでウールのようなルックスを持ちながら家庭洗濯が可能なユーティリティー素材だ。

 チューインガムのかみ心地を思わせるような、しなやかで程よい反発感のある風合い加工を施したチューインシリーズもイチ押し。ハリコシがありながらも滑らかなタッチが特徴。コンパクトでマットなルックスのやや薄手のコットンタイプライターだ。

 同社は約2千品番・2万色を備蓄販売する生地商社。小口対応に優れ、ウェブの「サンウェルネット」に登録すれば在庫状況や単価の確認、出荷手配、生地データの確認も容易にできる。

〈宇仁繊維/中肉素材を充実〉

 PTJ常連組の宇仁繊維(大阪市中央区)はこれまで同展で、国内外のアパレルバイヤーやデザイナーと出会い、販路を広げてきた。今回も新規顧客開拓に向け多彩な生地を披露する。

 秋冬向けの新作生地や、定番商品に後加工を施した表情のある生地を訴求し、来場者の反応をうかがう。

 イチ押し商品は、ベーシックな綿100%のシャツコール(極細コーデュロイ)にリップル加工を加え、横方向や斜めにランダムなシワを入れたシャツコールビンテージリップル。ビンテージのようなこなれた表情と程よい厚みも特徴。

 ポリウレタン混で程よい反発感のあるトリコットにデニム柄の転写プリントを施したサモーラパワーネットチュール広幅転写プリントもイチ押し。2ウエーキックバックの肉感ある素材でパンツやジャケットにも使える。

 同社はメード・イン・ジャパンの生地にこだわり、備蓄や国内協力工場との取り組みによる短納期・小口対応が強み。備蓄は約4万点に及び、即日出荷も可能。「自分で作って自分で売る」がモットー。

〈サンコロナ小田/「ヴィーナス・オーガンザ」発表〉

 糸加工メーカーで近年はインテリアやブライダル向けだけでなくファッション向け生地販売にも力を入れるサンコロナ小田(大阪市中央区)は今回のPTJで、「ヴィーナス・オーガンザ」という新しい生地ブランドを発表する。

 オーガンジーは同社を代表する生地で、多種多様なラインアップを取りそろえる。その中でも特に付加価値の高い風合い、光沢感を持つ特別なオーガンジーを、ヴィーナス・オーガンザとしてブランディングしていく。

 超極細長繊維糸を用い、ナノレベルの金属膜加工(スパッタリング)を施し、ナノレベルの構造発色を持たせる。既存と新作合わせ、10品番からスタートを切る。

 新作は、経糸に常圧染めのウーリー分繊糸を使い、緯糸に綿や麻などの天然繊維を用いた、ナチュラル感と立体感のある「世界中のどこにもない」生地が軸。

 従来は80品番ほどをブース展示していたが、今回はヴィーナス・オーガンザ含め約50品番に絞り込み、訴求ポイントを明確化する。