繊維ニュース

繊維関連企業 サステ対応が深化

2024年11月01日 (金曜日)

 繊維関連企業によるサステイナビリティーの取り組みが深化している。リサイクルの推進やバイオ由来原料の活用に加え、自社で“できること”を増やすなど、視野を広げている。

それぞれの観点や角度からサステ対応を進めており、今後もさまざまな取り組みを見ることができそうだ。

 リンゴに目を向けたのが帝人フロンティアだ。加工後の残渣(ざんさ)や廃棄予定リンゴを特殊技術で乾燥、粉末化した原料を一部に用いた合成皮革「リンゴ テックス」を開発した。この合皮を一部使用したバッグを、タレントの城島茂さんと共同で企画し、今日1日からテイジン公式オンラインサイトで販売する。

 日本の農家支援やフードロス削減に取り組む城島さんと環境に配慮した事業活動を進める同社の思いが一致した。担当者は「残渣などは料金を払って処理しており、農家の収益を圧迫している。残渣を有償で引き取り、アップサイクルすることで支援につなげることができれば」と話した。

 小松マテーレは、自社の知見とパートナー企業の複合菌技術を生かして汚泥減容化バイオ製剤「ベリフォーマー」を開発した。一般的に微生物の力で行う排水処理には一定量の余剰汚泥が発生する。これを減らすことができるのがベリフォーマーで、余剰汚泥の削減によって処理コストも抑えられる。

 東洋紡グループでは、東洋紡エムシーがディノスコーポレーションと連携し、3次元網状繊維構造体「ブレスエアー」を使った敷ふとんの回収リサイクルプログラムを実施する(10面に関連記事)。東洋紡せんいは、熱可塑性炭素繊維複合糸「CfC yarn」(シーエフシーヤーン)で、熱可塑性繊維にポリカーボネートを使ったタイプを開発している。

 シキボウは、バイオマスプラスチックペレット「コットレジン」を開発した。回収されたコットン製の衣料品などをセルロースマイクロファイバーに再資源化したもので、独自の配合で樹脂に分散・混錬する。ペレットでプラスチックメーカーなどに供給するが、「繊維化の話も持ち上がっている」という。

 織機用リード(筬〈おさ〉)製造の高山リード(金沢市)は、通常は廃棄されるリードを再活用した「リサイクルリード」を打ち出す。筬羽が傷付いたり、折れたりしたリードを回収し、状態の良い筬羽を選別して新たに作り直す。高山徹代表取締役は「顧客からの要望への対応と社会貢献のための取り組み」と話した。

 これらは先月29~31日、千葉市の幕張メッセで開催されたサステイナブル素材・技術の専門展「第4回サステナブル マテリアル展(SUSMA)」で紹介された。