特集スクールユニフォーム(2)/探訪 学生服の現場から/「真心教育」で良心を育む/学校法人君津学園 木更津総合高等学校
2024年10月31日 (木曜日)
学校法人君津学園 木更津総合高等学校(千葉県木更津市)は、旧木更津中央高等学校と清和女子短期大学附属高等学校が2003年に統合して設立した。現在は2064人の生徒が学んでおり、県内有数の規模を誇る。全国レベルで活躍する部活動も盛んで、硬式野球部は今夏の甲子園大会に6年ぶり8度目の出場を果たした。昨年度の創立20周年を機に、初の制服リニューアルに取り組んだ。
〈三つのシステムで運営〉
一人一人の目標や適性に合わせた学習環境を提供するため、1年次に4コース、2、3年次には県内最多の10コースを設置。特別進学、進学、総合、スポーツ、情報ビジネス、語学、医療・看護、保育・幼児教育、生活科学、美術の中から担任や進路担当の教員と面接を行いながら、自分の興味や関心、目標に合わせて進みたいコースを選択できる。
さらにコース選択後に他に学びたいことがあるという生徒には、一部を除き他コースの授業を受けられる総合選択制を導入。自分に合った幅のある時間割を自身で作成することができる。このほか、学習サポート体制なども整えており、卒業後の大学、短期大学、専門学校などへの進学の現役合格率は98・6%、就職希望者内定率は10年連続100%の実績を誇る。
教育環境も充実しており、広大な敷地に建つ校舎は全長200メートルの5階建て校舎をはじめ、130人以上収容可能な音楽ホール、エアコン完備の三つの体育館、五つの校内外グラウンドなどを備える。クラブ活動は運動部、文化部、同好会合わせて43クラブがあり、関東大会や全国大会を目指す強化クラブ、趣味として楽しめるクラブなど多彩な活動を続ける。「日本のスポーツ界発展のためにも高校スポーツに力を入れるのは私学の使命」と真板竜太郎校長は話す。
〈創立20周年機に制服更新〉
創立20周年を迎えた2023年に記念事業の一環として制服リニューアル案が持ち上がった。当時の制服デザインも評判は良かったが、20年を経たことで生地や着用感など機能面において最新製品との差が広がってきたことが主なきっかけとなった。
リニューアルに当たっては、真板校長を筆頭に、副校長、教頭、各学年主任、生徒指導部長、生徒指導部教員の計10人によるチームを結成した。当初、なるべくデザインを変えずにマイナーチェンジにとどめるという案と、この際だから大きくリニューアルすべきだという意見が拮抗。加えて、学年を明示するネクタイ、エンブレム、校章などをどうするか、価格を現行より抑えたいなど、さまざまな意見が飛び交い、その調整に時間を費やしたという。
それでも真板校長の「教育と同じで良いところは残しつつも時代に合わせて進化させなくてはならない」との方針に基づいてフルモデルチェンジに着手。23年2月に制服メーカー4社に依頼し、コンペを実施することとした。
コンペでは各社のプレゼンを元にチームメンバーが採点。「ストレッチや撥水(はっすい)性、縫製の耐久性といった機能面では各社大きな差はなかったが、校風やイメージに沿ったデザイン、価格、アフターサービスの充実、それにプレゼン時の熱意が大きなポイントとなった」と真板校長。結果、明石スクールユニフォームカンパニーが選定され、1週間後には最終決定通知を出した。総合評価で同社が競り勝った形となった。
〈機能性高め快適な着心地〉
24年度新入生向け学校案内パンフレットへの掲載に間に合わせるスケジュールで同社との調整を進め完成にこぎ着けた。出来上がった新制服は、家庭洗濯できるジャケット、パンツ、スカートや、ノーアイロンのシャツブラウスを導入することで家庭での負担軽減を図った。
スカートのチェック柄は本場スコットランドにあるキンロックアンダーソン社が認めた同校オリジナルの柄。校章と学校名を織り込んだジャケットの胸エンブレムは生徒の帰属意識を高めるオリジナルデザインとなっている。ジェンダーレス対応で女子スラックスも用意した。
生地の機能面では、ジャケットが現在主流のストレッチ、撥水、抗菌・ウイルス、消臭を備え、シャツブラウスもストレッチ、吸汗速乾、通気性を施してある。このほか、セーター、ベスト、リボンまたはネクタイなどのアイテムもリニューアル。ベストは自由購入で白色も選べる。
真板校長は「爽やかなイメージにリフレッシュできた」と評する。生徒からも軒並み好評で、学校案内を持って中学校巡りをした際には中学生から高評価を得ている。今春の新入生は創立以来最多の760人を記録した。新制服もその一助となった可能性がある。