ごえんぼう
2024年10月30日 (水曜日)
毛織物産地の尾州を舞台にした公開中の映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』を見た。愛知県一宮市で織布工場を営む家族の物語で、モノ作りの描写がストーリーを引き立てる▼主人公で発達障害のある女子高校生が、織機のリズミカルに動く音で目覚めるファーストシーンが印象的だ▼実在する織布工場も登場する。三星毛糸やソトー、匠染色の工場が映り、映画にリアリティーを与える。物語が間延びしないように工夫しながら、織布工程や織物について一般の人にも分かりやすいように伝えて理解を促す▼映画の中だけでなく、尾州のモノ作りの環境は現実も厳しい。23秋冬から持ち越すコート地が在庫過多の中、暖冬や、アパレルなどの適量生産の影響で産地企業の受注量が減少しており、経営を直撃する。映画では、諦めかけていた経営者の父親が、娘のひたむきな姿を見て再び前を向くシーンにグッとくる。