シキボウ・原糸販売 試紡依頼増え別注拡大
2024年10月28日 (月曜日)
シキボウの原糸販売は別注を拡大している。富山工場(富山市)での「試紡からバルク生産につながるケースが増えてきた」として、売り上げに占める別注の比率が半分以上になってきた。
。試紡した糸をインドネシア、ベトナム、タイで量産することも可能。「新しい素材開発への機運を捉える」として、国内外で多彩な糸作りができる生産拠点を持つ強みを生かす。
原糸販売の上半期(4~9月)は、為替で原材料の調達コストが上昇したことに加え、産地での販売が低調で利益面で苦戦した。しかし、特殊紡績法による絶妙な毛羽コントロール糸「ふわポップ」や、連続シルケット糸「フィスコ」といった「国内でオンリーワン」の差別化糸の販売が増加。前下半期から提案を強化してきた差別化糸の販売が「花開いた」ことによって前年同期比で増収になりそうだ。
別注も拡大し、富山工場での試紡の予定が「年内は埋まっている」。量産につながるケースも増え、富山工場やグループ会社の新内外綿の紡績工場であるナイガイテキスタイル(岐阜県海津市)、インドネシアの紡織加工拠点メルテックス、ベトナムとタイの協力工場を通じた供給ができる。
下半期に向けても展示会に積極的に出展するなどで販路開拓に取り組む。11月13、14日に金沢市で開かれる「第7回北陸ヤーンフェア2024」に新内外綿と共同で参加。台湾の保温機能ポリエステル繊維「シーウール」を使った2層構造糸「ツーエース」タイプや、綿との混紡糸を打ち出す。暖冬傾向にある中、ポリエステル・綿混で「軽く、適度な保温性」を訴求ポイントに、靴下やインナー用途へ提案する。
トルコ製オーガニック綿糸「エーゲ海オーガニック」では、別注に向けてさまざまなサンプルを発信。ベトナムでの生産もできる。
ベトナムの協力工場へは富山工場の担当者が技術指導をしており、富山工場と「同じレベルの品質の糸を供給できる」。ヤーンフェアでは、「フラッグシップのベトナム素材」としてサイロコンパクトの超強撚糸を披露。盛夏対策に適した素材への問い合わせが増える中、綿100%でありながら接触冷感やストレッチ、シャリ感を出した生地開発ができる。
ベトナムで年内をめどに綿糸10品番程度の備蓄販売も始める予定。通期(25年3月期)でも増収基調を維持しながら、利益率の向上を図る。