ユニフォーム最前線~変わる市場 機敏に捉えよ~(6)東レ テキスタイル事業部門機能製品事業部長 梅田 輝紀 氏

2024年10月25日 (金曜日)

若手の力で市場を活性化

 ――上半期(4~9月)の進捗(しんちょく)は。

 用途別に違いがありますが、売上高はほぼ前年並みで推移しています。ただ、価格転嫁が追い付いておらず、これまではその要因として原材料高がありましたが、今は労務費の上昇が一番大きい。産地の協力工場から「人材を確保しなければモノ作りができない」と言われる機会が増えており、加工料も上昇しています。サプライチェーン維持のためには背に腹を変えられず、利益面はなかなか計画通り進んでいません。

――猛暑で暑熱対策に注目が高まっています。

 汗染み防止機能付き吸汗速乾「ソリテクト」、麻調高通気「シャミラン」、防透け「スプリンジー」といった素材の販売が増えています。使い切り防護服「リブモア」では、粉じん防護性や耐水性を実現しつつ、通気性を併せ持つタイプも用意しており販売が好調です。

 ウール代替としてポリエステル100%梳毛調「マニフィーレ」も市場に浸透してきました。

 ニット化の流れも顕著です。ワーキングで売れ筋のストレッチ「ライトフィックス」をニット化しオフィスウエアや体育着などへ採用を広げています。

――テキスタイル部門内での連携も進んでいます。

 婦人服やスポーツで従来採用されていたストレッチ「プライムフレックス」、遮熱性「ボディシェルEX」、高通気「ドットエア」といった素材もユニフォーム用途に採用が増えています。

――環境配慮への関心も高まっています。

 引き続きバイオ原料ポリエステル「エコディア」やペットボトル再生繊維「&+」(アンドプラス)の採用が増えています。現在、繊維to繊維ではケミカルリサイクルナイロンの提案を強化していますが、ポリエステルでも開発中で、来年ぐらいにはしっかりとした形をお見せできれば。

――通期に向けて。

 ワーキングの在庫調整が解消されてきたことから増収に転じていきたいと考えています。来年は大阪・関西万博が開かれ、さまざまなユニフォームを見てもらう良い機会となります。日本館のユニフォームには当社の生地も採用されています。万博によってユニフォームを更新する動きが高まり、いい循環ができてくることを期待しています。

 また、当社は業界内でも若い世代の担当者が多く、珍しいと思います。設計から組織まで自ら素材開発のプロセスを考え、その生地を売っていくという喜びや達成感を得られるという点が活気につながっています。事業部間で連携してチームを立ち上げ、プロジェクトを進める動きも活発になっています。それらの成果を出しながら市場を深耕してきます。

(毎週金曜日に掲載)