「ITMAアジア」の日系部品メーカー/省エネニーズ取り込む/付加価値品シフト追い風に

2024年10月24日 (木曜日)

 【上海支局】14~18日の5日間、中国・上海で開かれた繊維機械の国際見本市「ITMAアジア+CITME2024」の日系部品メーカー出展各社は、顧客の省エネニーズと付加価値品へのシフトを取り込み、中国内販を拡大している。部品市場でも、省エネと高付加価値化のニーズが高まっている。

 繊維市況が低迷する中、今年は中国メーカーの新規設備の導入が減る一方、既存設備の改造が増え、日系部品メーカーはその恩恵を受けている。顧客の改造の目的は、省エネと高付加価値化の二つだ。

 合繊メーカーは、収益性を改善しようと「より少ない空気消費量で生産できるノズルを求めている」(日系ノズルメーカー関係者)。これまで定番の糸を生産していた顧客が、「細デニールに挑戦するため、既存施設のノズルを切り替えた」(同)ケースもある。

 こうした中、今回展では、省エネと高付加価値化を切り口とした提案が目立った。

 阿波スピンドルは、合繊紡糸機用マイグレーションノズルと同インタレスノズルを訴求。紡糸の上流工程と下流工程に使われるノズルで、空気の流れを使用条件に合わせて最適化できることや、メンテナンスなどの作業性の向上に寄与することをアピールした。

 合繊紡糸用や不織布製造用、半導体製造装置用のノズルや金型を生産する化繊ノズル製作所は、パネルを使って主力商品と、自社試験設備で紡糸した複合繊維の糸断面を紹介した。

 内販では既存の複合繊維向けのノズルが低迷しているものの、顧客の高付加価値シフトを背景に新規開発案件が健闘している。

 合繊製造設備用の糸道やテンション装置のメーカー、湯浅糸道工業は、総販売代理店、寧波湯浅系道紡織化繊技術のブースで、紡糸巻き取りと糸加工用の新製品を提案した。従来品よりも軽量化を図ったことや、ランニングコストを大幅に削減できるメリットを訴求した。

 リードメーカーの高山リードは、現地法人の高山紡織器材〈山東〉で生産する各種リードや日本製のメンテナンス機器をアピールした。服地の織機用リードの内販は、地場競合メーカーがここ数年、品質を高めていることが響き、芳しくない。一方、電気自動車(EV)向けの内装資材メーカー向けの新規販売が伸びている。