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クラレ 高付加価値化でMB再強化

2024年10月21日 (月曜日)

 クラレの繊維カンパニーは、高付加価値化を加速し、メルトブロー不織布(MB)事業を再強化する。

生産を集約した西条事業所(愛媛県西条市)には改造した設備があり、その活用で独自性を高める。また、さまざまな樹脂を応用することで製品の幅を広げ、産業資材や建築資材用途などで拡販を図る。

 同社は、1989年からMBの製造・販売を行ってきたが、クラレクラフレックス岡山工場(岡山市)の生産ラインを停止し、クラレ西条事業所に生産を集約した。佐野義正取締役兼専務執行役員繊維カンパニー長は「汎用MBは中国企業との競合もあり、大きなマイナスが出ないうちに生産能力の縮小を決めた」と話す。

 クラレクラフレックス岡山工場では2020年にMBの最新設備(年産900㌧)を導入したばかり。新設備の移設・入れ替えではなく、クラレ西条事業所の既存設備で生産を続ける理由について「設備は独自の改造を施し、他にはない製品が作れる。新設備で生産するよりも優位性が発揮できる」(佐野取締役)と説明した。

 市場では、ポリプロピレン(PP)を使ったMBが広く展開されており、同社ではさまざまな樹脂をMB化することで差別化を図る。耐熱性や強度などを付与した製品を作り、産業資材用途に提案する。そのほか、働き手不足によって工法などが変わり、需要が増える可能性がある建築分野にも目を向けている。

 クラレクラフレックス岡山工場で生産する乾式不織布は24年12月末で生産を終了するなど、将来を見越して撤退を決めた。設備をどうするかは未定。業務用衛生布巾のカウンタークロスの販売代理店に対しては「技術面や管理方法などのほか、知識・人材面でもサポートを続ける」とした。

 MBと同様に成長分野で拡販を目指すとするのがビニロンだ。需要が伸びているアスベスト代替では差別化品の投入に加え、インドやアジア市場で存在感を高める。フィラメントや難燃ビニロンの販売にも力を入れる方針で、難燃ビニロンは「エコテックススタンダード100」の認証取得にめどが付いたとしている。