ユニフォーム 最前線~変わる市場 機敏に捉えよ~⑤ 東洋紡せんい 営業本部ユニフォーム事業部長 山本 慎太郎 氏

2024年10月18日 (金曜日)

事業間の開発資源生かす

 ――上半期(4~9月)の商況は。

 前期(2024年3月期)は別注の大型案件などがあり12~13%増収と良かっただけに、販売量が減る見通しでしたが、計画通り前年同期比5%の増収となっています。一昨年を上回るペースです。ワーキングは前年同期並みですが、サービス向けが堅調です。

 利益面も値上げしてきた効果が表れ、計画通りとなっています。ただ、7月初旬には一時、1㌦=160円台になるなど、為替の影響を受けており、それがなければもう少し上乗せができたはず。下半期に向けても値上げしきれていなかったものに対しては価格改定も進めていきます。

――特に売れ筋は。

 ニットのストレッチ性はそのままに洗濯耐久性といった織物に近い物性、風合いを実現した「コンフォネックス」の販売量が成約ベースで倍増になっています。高密度とストレッチ性を実現した編み地「スクラムテック」では一部のワークウエアメーカーが採用し、下半期以降の販売拡大を期待しています。

 これまで編み地ではスナップやピリングなど弱点がありましたが、それらの弱点を克服し、試験データ的にも数字の裏付けを持って提案できていることが採用につながっています。

 レンタルなど工業洗濯が必要なメディカルや介護ウエア向けでは、編み地では耐久性が不安なことから、2ウエーストレッチ織物「オールフレックス」の採用も増えてきました。

――ベトナムの縫製子会社、東洋紡ビンズンや協力工場を活用した製品OEMも拡大しています。

 ビンズンでは卸売りのビジネスライセンスも取得し、ユニフォームだけでなくスポーツなどの内販にも力を入れていきます。来年2月に開催予定の「ベトナム国際アパレルファブリックス&繊維関連技術専門見本市」(VIATT)に出展します。

――環境配慮への意識が高まっています。

 自社グループ内の縫製工場で発生する端材を協力工場でマテリアルリサイクルする「T2T」で、ユニフォームでの活用を進めています。大型設備を導入し、生産能力も高めています。スポーツで先行しますが、今年度中には製品回収まで含めた仕組み作りを進め、ユニフォームへの浸透を図ります。

 スクールやスポーツの事業部が展開する生地をユニフォームの販路で売るなど、事業部間の連携も強めています。われわれの商材で売り上げを伸ばしてもらうためにも、スクール、スポーツでの開発資源を生かし、コストも含めて商品力をもっと高めていきます。

(毎週金曜日に掲載)