ダイワボウレーヨン 設備更新を早期に決定
2024年10月18日 (金曜日)
ダイワボウレ―ヨンの巽哲一社長は、今後の重点課題として益田工場(島根県益田市)の設備更新投資を早期に決定することを挙げた。また、レーヨン短繊維の競争が世界的に激化する中、機能レーヨンによる輸出拡大の重要性が一段と高まったとの認識を示す。
同社は国内唯一のレーヨン短繊維メーカーだが、生産を担う益田工場は設備の老朽化が進んでおり、事業継続のためにも設備更新が長年の懸案事項だった。今年にダイワボウレーヨンを含む大和紡績グループがダイワボウホールディングスから独立したことで、新たに出資者となった投資ファンド、アスパラントグループと設備投資の実施に向けた話し合いを進めてきた。巽社長は「基本的に投資を実施することで話が進んでいる。早期に方向性や手順を決定し、着手したい」とし、今期中(2025年3月期)には具体的な決定に至りたい考えだ。
一方、現在の商況に関して「原燃料価格の上昇で利益率が圧迫されて厳しい環境にある」と指摘する。このため現在、値上げを実施している。品種別では不織布向けで対米輸出する防炎レーヨンに勢いがない。「米国の金利上昇で住宅着工件数が減少し、主力用途であるマットレス部材の需要が減退している」と分析する。一方、難燃レーヨンは堅調。アジア地域を中心に官需や作業服用途で需要拡大が続いている。紡績用途も比較的安定している。
今後に関して巽社長は「現在の原燃料事情を考えると、汎用品では中国やインドネシアのメーカーとの競争にさらされる」として、不織布用と紡績用ともにこれまで以上に難燃・防炎や極細繊度、練り込み技術による機能レーヨンなどの拡販に力を入れる。特に現在の円安傾向を生かすために輸出の重要性が一段と高まった。難燃・防炎レーヨンの輸出に加え、中国市場もフェースマスク向けなどコスメティック用途に向けて、極細繊度や高吸水機能レーヨンなどの販売に力を入れる。