ユニフォーム 最前線~変わる市場 機敏に捉えよ~④ ユニチカトレーディング ユニフォーム営業部長 原 隆浩 氏

2024年10月11日 (金曜日)

最終ユーザーへ丁寧な説明必要

 ――上半期(4~9月)の商況は。

 前年同期比で増収となっています。値上げの効果がまだ十分とは言えませんが、増益を確保しており、ほぼ計画通りでした。売り上げの半分ほどを占めるワーキング向け素材は、定番的なセットアップ企画がこの猛暑の影響で電動ファン(EF)付きウエアに置き換わり、需要が減る傾向にあります。しかし、関東を中心に販売代理店を通じて別注が増えており、トントンになっています。

 サービスはインバウンド需要を受け、飲食やホテル向けが好調です。白衣向けも前年は在庫調整局面にありましたが、回復傾向にあります。ベトナムや中国で対応する製品OEMの供給も微増になっています。

――売れ筋の素材は。

 吸放湿素材「ハイグラ」や、クーリング性と接触涼感性を併せ持つ「サラクール」、遮熱クーリング効果とUVカット性のある「こかげマックス」など、スポーツ用途で広がっていた差別化素材がユニフォーム用途でも堅調に伸ばしています。ストレッチを含め、この酷暑に対応できる素材のニーズが増えているようです。

 別注での採用も増えています。人材確保の面からデザイン性だけでなく機能性の高い素材を使う動きが活発になっています。以前はド定番と呼ばれていた生地が売り上げの8割を占めていましたが、今は半分ぐらいに減っています。

――通期(2025年3月期)の見通しは。

 キーワードとして最近、よく聞かれる「酷暑」「安全」「多様化」といったニーズに柔軟に対応していきます。特にハイグラなどスポーツで売れ筋の素材をユニフォームへも広げながら、通期では微増収増益を計画しています。

 高まる環境配慮へのニーズに対しては、総合ブランド「エコフレンドリー」を軸に、バイオベースやリサイクルなどの提案を強めていきます。回収したユニフォームを反毛によって自動車の資材にリサイクルする「エコラリー」も徐々に広げています。ユーザーに対して循環にかかる費用をどう理解してもらうかが課題ですが、しっかり取り組んでいきます。

――価格による競合が難しくなってきました。

 ユニフォームに対する認識が変わりつつあり、単に価格が安いからというだけでは選ばれなくなってきました。なぜこの機能があるのか、なぜこの素材なのか、納得したものにお金を出すという傾向が強まっています。われわれとしては機能や縫製仕様などについて、最終ユーザーにも分かりやすく丁寧な説明を徹底し、ニーズをしっかり捉えていくことも必要だと考えています。

(毎週金曜日に掲載)