シキボウ ブランドの海外戦略加速

2024年10月11日 (金曜日)

 シキボウはブランド戦略や海外への販路開拓を活発にしている。デザイナーの森永邦彦氏が展開するファッションブランド「アンリアレイジ」とのコラボレーションでTシャツプロジェクトを始動。

テキスタイルデザイナーの梶原加奈子氏とはこだわりの生地を厳選した「ファブフィリア」を立ち上げ、欧州を中心に輸出に取り組む。

 同社は昨年からブランド戦略プロジェクトを推進しており、Tシャツはプロジェクトの第1弾。インドのフェアトレード綿をベトナムで紡績した「コットン∞」(コットンエイト)を使い、バングラデシュでハイゲージに編み立てた。ボディーパターンはアンリアレイジが監修し、汎用性がありながら裾にスリットを入れるなど、着用しやすいTシャツに仕上げた。

 ブランドを『EMP「」Y』(エンプティ)としてBtoBを中心に展開する。無地の白と黒の2色を用意し、例えば企業がロゴをプリントしてノベルティーで活用するといったニーズを捉える。既に芸術関連で引き合いがあるという。40双糸の天竺使いで高品質感があり、価格的には通常の天竺のTシャツに比べ倍ほどのイメージとなる。

 ファブフィリアは梶原氏の監修、協力に基づいて、既存の連続シルケット糸「フィスコ」や特殊紡績法による絶妙な毛羽コントロール糸「ふわポップ」、「テンセル」リヨセル使いといった素材に新たな表面感や質感を追求。同社としては珍しいシワ加工やインクジェット捺染による生地もラインアップする。細番手糸使いのシーツ地を衣料向けに「ひと手間を加えて見せ方を変える」といった手法も駆使する。

 既に欧州の展示会で紹介しており、バルク生産には至っていないものの、著名ブランドからサンプル依頼が増加。「手応えをつかみつつある」と言う。

 今日11日まで大阪市中央区の本社で素材展示会「2024シキボウエキシビション」を開催している。生分解性ポリエステル「ビオグランデ」の長繊維使いのメッシュ生地や、キャッサバの葉を活用した養蚕プロジェクトによるシルク糸「エリシルク」の横編み製品などを発信。経済産業省の「環境配慮設計ガイドライン」に適応するサステイナブル素材を豊富にそろえる。

 ユニチカトレーディングとの共同企画で、環境配慮設計をテーマにしたセミナーも開催。欧州でルール化が進む中、「日本国内では何も決まっていないことが課題」として、先を見据えた取り組みの必要性を訴えた。展示会、セミナーは東京でもプラザマーム(東京都中央区)で16~18日に開く予定。