豊島 天然繊維生地に高機能を
2024年10月10日 (木曜日)
豊島は天然繊維を軸に、強度を高める剛性や吸水速乾性など高次元の機能性を備えた生地の提案を強化する。欧米のスポーツやアウトドア向けの展示会にも出展し、国内だけでなく海外市場に向けた打ち出しを進める。
合繊や化学繊維で生地強度を持ち、複数の機能を付与する生地は多い。同社は天然繊維の特徴を生かし、必要な機能を“アップデート”する手法で差別化を図る。国内の著名スポーツ・アウトドア向けブランドへの採用事例を持つが、欧州を中心に販路の開拓を着実に進めている。
新たに訴求を強める素材として、綿に機能を付与した3種類の生地シリーズ「SpectaXle」(スペクタクル)を開発した。綿の経編み地で洗濯後の縮率を2~3%に抑える高い防縮性と、100回洗濯に耐え得る色の保持性を併せ持つ「TRXCOT」(トライコット)はスポーツウエア向けに適する。
綿の“わた”にトリートメント加工を施した紡績糸を使った丸編み地は「DRYFAB」(ドライファブ)として打ち出す。高度な吸水速乾性を持ち、30番単糸で天竺編みした生地で、洗濯後1時間で乾燥すると言う。合繊繊維にも引けを取らない機能を搭載して訴求する。
鉄の15倍の強度を持ち、水に浮くほどの軽さや耐切創性、耐摩擦性を持つ高強力ポリエチレン繊維「ダイニーマ」と綿を複合した生地もそろう。ダイニーマと綿を交織した生地や、ダイニーマと再生ナイロン使いで引き裂きに強いリップストップなども加える。
ダイニーマをステープルカットし、綿と混紡した糸を天竺編みにした生地も耐摩擦性に優れる。マーチンデール摩擦試験機で5万回の耐摩擦試験をクリアした。
現在、欧州のスポーツメーカーや、スポーツとアウトドアの本格的な機能を打ち出すアパレル企業にアプローチを強める。欧州には天然由来素材や環境配慮型素材の副資材を使う企業も見られる。このような姿勢を持つ企業に天然繊維ならではの親和性を訴求しながら新規案件の獲得を目指す。
海外展の出展も決まっている。今月23、24日にドイツ・ミュンヘンで開催の「パフォーマンスデイズ2024」や、来月19~21日に米・ポートランドで開く「ファンクショナルファブリックフェア2024秋」に出展する。